10月5日、International Business Times SGが「Foxconn Q3 Revenue Soars 47% as AI Server Demand Powers Growth」と題した記事を公開した。かつて「iPhoneを作る会社」として世界に知られたFoxconnが、AIサーバー需要を主因として2026年第3四半期の売上高を前年同期比47%増と大幅に伸ばした——その数字は、同社がスマートフォン受託製造から「AIインフラの基幹工場」へと事業の核心を塗り替えつつあることを端的に示している。
Q3売上高はNT$3.03兆、市場予想を上回る
Foxconnが発表した2026年7〜9月期の売上高はNT$3兆300億(約9兆5,390億円相当、$95.39 billion)で、前年同期比47%増となった。LSEGのスマートエスティメート(NT$2兆8,300億)を大きく上回り、市場予想を超えた。なお、LSEGはロンドン証券取引所グループが提供する金融データ・分析サービスであり、スマートエスティメートはアナリスト予想の加重平均コンセンサス値を指す。
第2四半期(4〜6月)も前年同期比41%増のNT$2兆5,300億を記録しており、2026年に入ってからの成長が続いている状況だ。第2四半期は営業利益・純利益ともに四半期として過去最高を達成し、クラウド・ネットワーク製品が初めて売上高の50%超を占めた。
単月では、9月の売上高が前年同月比38%増のNT$1兆1,600億となり、月次としても過去最高かつFoxconnの月次売上高がNT$1兆を初めて超えた月となった。7月・8月もそれぞれNT$9,000億超の月次最高を更新しており、3カ月連続で記録を塗り替えた形だ。なお、8月は前年同月比51.98%増のNT$9,218億だった。
売上構成の変化——AIサーバーが「最重要エンジン」に
ここで押さえておきたいのは、この変化がいかに構造的かという点だ。Foxconn(正式社名:鴻海精密工業、英語名Hon Hai Precision Industry)は長年、AppleのiPhoneをはじめとするスマートフォンや家電製品の受託製造——いわゆるEMS(Electronics Manufacturing Services:電子機器受託製造サービス)——で世界最大規模の地位を築いてきた。その看板事業が、わずか数年でAIサーバー製造に主役の座を明け渡しつつある。
近年はMeta・Google・Microsoft・Amazonといったハイパースケーラー(超大規模なデータセンターやクラウドインフラを運営する巨大IT企業群)によるAIインフラへの設備投資拡大を追い風に、事業の重心がクラウド・ネットワーク製品へと明確にシフトしている。
同社は声明の中で、AIサーバー収益は2024年以降継続して増加しており、現在は「最重要の成長エンジン」になったと述べている。第4四半期についても、AI関連事業の成長が続くとの見通しを示した。ただし、「不安定なグローバル政治・経済環境の影響を引き続き注視する必要がある」とも付言しており、数値による業績ガイダンスは提供していない。
AIインフラへの大規模投資——製造受注にとどまらない戦略転換
Foxconnは製造受注を受けるだけでなく、自社でのAIコンピューティングインフラへの投資も積極的に進めている。この点が、従来の受託製造専業企業とは一線を画す点だ。
2025年10月、取締役会がAIコンピュートクラスターおよびスーパーコンピューティングセンター向け機器調達のため、最大NT$420億の投資計画を承認。クラウドコンピューティングサービス基盤の拡張と、スマートプラットフォーム開発の加速を目的としている。
また、2025年5月にはNvidiaと台湾政府が連携し、**Nvidia Blackwell GPU 1万基を搭載したAIファクトリー型スーパーコンピューター**を台湾に構築すると発表した。このシステムは台湾の研究機関・スタートアップ・企業向けのAI計算基盤として提供される予定だ。記事公開時点(2026年10月)では発表から約1年が経過しているが、元記事にその後の進捗への言及はなく、詳細はFoxconn公式IR等で確認されたい。
米国でも製造能力の拡張を進めており、テキサス・ウィスコンシン・オハイオ・カリフォルニアの各州でサーバー、ラック、液冷システム、テスト設備の生産能力を増強する計画を示している。
株価はTSMC相場に乗り遅れ
業績の好調さに反して、Foxconnの株価パフォーマンスは台湾市場全体を大きく下回っている。2026年の株価上昇率は年初来で約10%にとどまっており、台湾市場全体の72%上昇と比較すると顕著な差がある。
売上成長率と株価パフォーマンスのギャップが示すのは、市場がFoxconnを「利益率の低い受託製造業」という従来の評価軸でまだ測っている可能性だ。このギャップを埋める意味でも、11月12日に予定されている第3四半期の正式決算発表(純利益や詳細なセグメントデータを含む)が投資家の注目を集めている。
今回の発表は月次・四半期の未監査売上データである点に留意が必要だ。純利益や詳細なセグメント別データは11月12日の正式発表を待つことになる。
詳細はFoxconn Q3 Revenue Soars 47% as AI Server Demand Powers Growthを参照していただきたい。