10月4日、How-To Geekが「I changed one ChatGPT setting, and it stopped giving me generic advice」と題した記事を公開した。ChatGPTの「パーソナライズ設定(Personalization)」を適切に構成するだけで、誰にでも当てはまる汎用的な回答が消え、ユーザーの役職・予算・スキルレベルに即した具体的なアドバイスが返ってくるようになる――それが本記事の核心だ。設定にかかる時間は数分。されど効果は、「ミドルレンジスマートフォンを今買うべきか待つべきか」という同じ質問への回答が別物になるほど劇的だという。
なぜChatGPTは当たり障りのない回答を返すのか
「整理整頓を心がけよう」「タスクに優先順位をつけよう」――ChatGPTからこうした助言が返ってくる経験は、多くのユーザーに覚えがあるだろう。これはバグではなく、設計上の性質だ。
背景にあるのはRLHF(人間のフィードバックによる強化学習)などのアライメント技術だ。RLHFとは、人間の評価者がモデルの出力に対してフィードバックを与え、「安全で、役立ち、広く受け入れられる」回答を生成するようモデルを誘導する手法である(OpenAI解説記事)。結果として、モデルはインターネット上の意見の平均値を出力するようになり、当たり障りのない中立的なリストと「丁寧な水増し」が量産される。
これを解決する鍵がパーソナライズ設定(Personalization)の活用だ。ユーザー固有の文脈を事前に登録しておくことで、モデルは「平均的なユーザー向けの回答」ではなく「その人向けの回答」を生成できるようになる。
カスタム指示で「毎回のプロンプト定型文」を省く
設定へのアクセスは、画面左下のプロフィールアイコン → Settings → Personalization の順に進む。OpenAIの公式ドキュメントでは、この機能を「会話をまたいでChatGPTの動作をカスタマイズするための設定」と説明している。画面にはトーンやスタイルのプリセットも用意されているが、効果の本命は次の2つのフィールドだ。
- Custom Instructions(カスタム指示):回答のスタイル・禁止事項・形式などをモデルに指定する
- More About You(あなたについて):役職・経験レベル・利用ツール・制約条件などを登録する
この設定は新規チャットすべてに自動的に適用される。既存のスレッドには影響しない点に注意が必要だ。毎回のプロンプトにペルソナや制約を書き込む手間が、この設定一度で省ける。
実際に使えるテンプレート(抜粋)
記事では、プレースホルダーを書き換えるだけで使えるテンプレートが公開されている。以下はその骨格だ。
Custom Instructions(カスタム指示)
# Custom Instructions
Respond in a clear, direct, and practical style.
Always tailor answers to my role, experience level, and constraints described above.
Do:
- Start with the most useful answer first, then explain details.
- Give specific, actionable steps or examples, not vague principles.
- When there are trade‑offs, state them clearly (pros/cons, risks, effort, cost, time).
- If my question is too vague, ask 1–3 focused clarifying questions before giving generic advice.
Don't:
- Do not give generic advice like "stay organized" or "set SMART goals" unless clearly appropriate.
- Do not start with long intros or motivational talk.
- Do not assume I'm a complete beginner unless my question clearly shows that.
Default response length: [short / medium / long].
If a topic could be sensitive (health, money, legal), give practical guidance but remind me to consult a professional.
More About You(あなたについて)
I am a [age, optional]‑year‑old [role] based in [city/state, optional].
My main areas are: [field 1], [field 2], [field 3].
My experience level: [beginner / intermediate / advanced].
I usually want help with: [learning / problem-solving / decision-making / planning / templates or code].
Constraints: [time], [budget], [tools], [other preferences]
テンプレートの全文は元記事で公開されている。記事筆者は「プレースホルダーを埋めるだけで、設定の粒度が上がり、返ってくる回答の質が大きく変わった」と述べている。
設定前後で何が変わるか
記事では「ミドルレンジスマートフォンを今買うべきか、6ヶ月後の次世代モデルを待つべきか」という質問を、設定前後で投げかけて比較している。
設定前の回答は矛盾していた。「待て」と言いながら「あまり待ちすぎるな」とも述べ、汎用的なデバイスリストで水増しされた内容だった。
設定後は一変した。元記事によれば、回答は購入判断を明確に示し、7年間のアップデート保証やチップセット世代といった長期的な観点でスマートフォンを評価した。さらに回答の末尾では、ユーザーの現在の端末・予算・好みを確認する具体的な質問が返ってきたという。同じ質問でここまで回答の質が変わるのは、モデルが「誰に向けて答えるか」を把握できているかどうかの差に尽きる。
実用上の注意点
- 設定の効果は新規チャットにのみ適用される。既存スレッドを引き継ぎたい場合は、そのスレッド内で改めてコンテキストを与える必要がある
- Custom Instructionsに矛盾した指示を書くと、モデルが混乱した回答を返すことがある。「簡潔に」と「詳細に」を同時に指定するような組み合わせは避けたい
- 状況が変わった場合(転職・引越し・スキルアップなど)は、定期的に「More About You」を更新することで設定の鮮度を保てる
- 健康・法律・財務など専門的な判断を要するトピックでは、テンプレート内にある「専門家への相談を促す」条件分岐を必ず残しておくことが望ましい
要点
- ChatGPTが汎用的な回答を返すのは設計上の性質であり、バグではない
- 「Custom Instructions」と「More About You」を埋めることで、毎回のプロンプトにペルソナや制約を書く手間が省ける
- 効果は新規チャットにのみ適用される
- 設定内容は状況の変化に合わせて定期的に見直すと効果が持続する
詳細はI changed one ChatGPT setting, and it stopped giving me generic adviceを参照していただきたい。