10月2日、SiliconANGLEが「Robotics AI developer FieldAI reportedly raising $700M in funding」と題した記事を公開した。ロボット向けAIモデルを開発するFieldAI社が評価額100億ドルで7億ドル(約1,000億円/1ドル=143円換算)の資金調達を検討しているという報道について詳しく紹介されている。
1年ちょっとで評価額が5倍に
FieldAIは、ロボット向けAIモデルを開発するスタートアップだ。Business Insiderの報道によれば、今回のラウンドでの評価額は100億ドルに達する見通しで、これは昨年8月時点の評価額の5倍に相当する。すでにタームシート(非拘束的な資金調達合意の予備文書)に署名済みとみられている。
投資家の顔ぶれとしては、ジェフ・ベゾスの投資ファンド「Bezos Expeditions」、NvidiaのコーポレートVCであるNVentures、そしてIntel Capitalが既存株主として名を連ねる。今回のラウンドへの参加投資家は現時点で明らかになっていない。
売上面では、今年6月時点で「収益および顧客契約の合計が1億ドル超」と報じられていたが、記事公開時点では1億3,500万ドル超に増加したという。顧客数は建設・エネルギー・公共セクターなど複数の業種にまたがり、30社以上に上る。
「地図なし・GPSなし」で動くナビゲーションAI
エンジニアがロボットを現場に投入する際、従来は事前に環境地図を用意する作業が必要だった。建設現場のように環境が頻繁に変化する場所では、静的な地図はすぐに陳腐化し、ナビゲーション精度に影響が出る。
FieldAIのAIモデルは、この前提を覆す設計になっている。
- 地図不要:事前マッピングなしで自律走行できる
- GPS・インターネット接続不要:オフライン環境でも動作する
- ユーザー定義の走行経路不要:経路を明示的に設定しなくてよい
これにより、ロボットの「ナビゲーションスタック」(センサー・測位・経路計画を含む一連のシステム)の構築コストが大幅に削減できる。また、照明が故障しているエリアに侵入した際に自動で速度を落とすなど、リスクに応じて自律的に行動を調整する機能も持つ。
対応プラットフォームも幅広く、自律走行車からヒューマノイドロボットまでをカバーすると同社は説明している。今年3月にはBoston Dynamicsと提携し、同社の4足歩行ロボット「Spot」への対応を追加。産業顧客による設備点検業務の自動化に向けて統合が進んでいる。
デジタルツインを自動生成、AI訓練にも活用
FieldAIのモデルは、ロボットに搭載されたカメラ・LiDAR(光を使った距離計測センサー)・レーダーなど複数のセンサーデータを統合し、デジタルツイン(実環境をリアルタイムで反映した仮想モデル)を自動生成する。
このデジタルツインは単なるスナップショットではなく、実環境のデータで継続的に更新される点が特徴だ。顧客はこれを使って、たとえば工場の床面レイアウト変更を実施前に仮想シミュレーションで検証できる。さらに、生成されたデジタルツインをAIモデルの訓練データとして活用できるとFieldAIは述べている。
競争が激化する産業ロボティクスAI市場
産業ロボティクス向けのAIインフラ整備は、製造・建設・エネルギーといった分野での自動化需要の高まりとともに競争が激化している領域だ。地下インフラのマッピングと可視化に特化したExodigoや、建設・採掘現場向けの自律ロボットソリューションを手がけるScoutbaseといったプレイヤーも同領域に参入しており、「現場で使えるロボットAI」を巡る資金と人材の争奪戦は加速している。
こうした競合環境の中でFieldAIが差別化を図るのが、事前準備なしに未知の環境へ即時展開できるという点だ。地図生成やGPS依存を前提とする従来アーキテクチャとは設計思想が根本的に異なり、環境変化の激しい現場においてより広い適用範囲を主張できる。評価額の急伸は、この設計思想に対する投資家の強い支持を示していると言える。
詳細はRobotics AI developer FieldAI reportedly raising $700M in fundingを参照していただきたい。