10月3日、Christian Cawleyが「OpenAI, Blackstone, Softbank form US data center lobbying group」と題した記事を公開した。AIの計算基盤をめぐる争いが技術の世界から政治の世界へと舞台を移す中、OpenAI・SoftBank・Blackstoneらが合同ロビー団体を結成し、データセンター建設への反発に正面から対抗しようとしている。
AIデータセンター建設推進のための連合体が発足
OpenAI、SoftBank、Blackstone、グローバルデータセンター企業のQTS、そして7つの建設・電気系労働組合が合同で「American Infrastructure Alliance(AIA)」を設立した。その目的は明快で、データセンター建設に反対する地方自治体や環境団体に対抗し、建設承認を通しやすくする環境を整えることだ。
AIAが最初に活動を展開する州として挙げているのは、テキサス、ジョージア、オハイオ、アイオワ、ペンシルバニア、インディアナ、サウスカロライナの7州。いずれもデータセンター建設の需要が高い一方、地元住民や環境団体からの反発も強い地域だ。
なぜ今、ロビー団体が必要なのか
背景には、データセンター建設への反発が急速に強まっている現状がある。環境問題や電力消費への懸念を理由に、地方議会レベルでの建設阻止や開発モラトリアム(一時停止)を求める声が増えており、バーニー・サンダース上院議員も全米規模のモラトリアム立法を検討中だと報じられている。
また、AIデータセンターへの反発は、テック企業に3ヶ月で1,300億ドルの損失をもたらしたとも報告されており、業界にとって無視できない問題となっている。
こうした政治的・社会的な逆風は、米国政府が主導するAIインフラ整備の動きとも衝突しつつある。トランプ政権が2025年初頭に発表した官民共同の大型AIインフラ投資計画「Stargate」は、OpenAIやSoftBankも主要パートナーとして名を連ねており、4年間で最大5,000億ドルの投資を目指すものだ。AIAの設立は、こうした国家レベルの投資計画を地方の反発から守る"地ならし"としての役割も担っていると見られる。※編集部の考察
AIAに参加している労働組合は元記事によれば7つとされているが、記事中で名前が挙げられているのは以下の組合だ:
- IBEW(国際電気工事労働組合)
- UA(配管工・パイプフィッター組合)
- SMART(板金・航空・鉄道・交通労働者組合)
- HFIAW(断熱工・関連労働者組合)
- 国際鉄鋼労働者組合
残り2組合については元記事に詳細な記載がなく、現時点では確認できていない。
SMART会長のMichael Colemanは「アメリカの労働者とコミュニティは、この重要インフラが建設される際に意思決定の場に参加すべきだ」と述べ、AIAへの支持を表明している。
「雇用創出」という主張への反論
AIA側の主な論点は「データセンターは雇用を生む」というものだが、この主張には異論も出ている。
環境団体Food & Water WatchのMitch Jones政策・訴訟担当マネージング・ディレクターは次のように指摘する:
「データセンターが完成した後、施設内に残る正規雇用は極めて少ない。我々の調査によれば、2024年時点で全米のデータセンターに恒久的に雇用されているのはわずか2万3,000人にすぎない」
Jones氏は環境への影響に加え、「建設中は雇用が生まれるが、稼働後は人をほとんど必要としない」という構造的な問題を指摘し、モラトリアムによる詳細な研究調査の実施を求めている。
これに対し、IBEW会長のKenneth Cooperは「必要なインフラへの包括的な禁止措置は、経済を後退させ、中産階級の雇用を脅かす」と反論している。
2027年に向けたガイドライン策定が焦点
AIAは2027年を目標に、データセンター開発のガイドライン(guardrails)の策定を計画している。地方自治体との対話を通じて承認プロセスを円滑化することを目指すとしており、一方的な建設推進ではなく「対話」の形式を取る姿勢を前面に出している。
ただし、業界最大手が資金と政治力を持ち寄って組成した団体が「対話」を主導する構図に対し、批判的な見方も根強い。AIインフラの整備を国家的優先事項と位置づける動きが加速する中、地方コミュニティの声がどこまで反映されるかは、今後のAIA活動の透明性にかかっていると言えるだろう。※編集部の考察
詳細はOpenAI, Blackstone, Softbank form US data center lobbying groupを参照していただきたい。