10月2日、Ryan Merketが「Anthropic lets Claude Code mods rewrite prompts and approve tool permissions」と題した記事を公開した。AnthropicがClaude Codeに「Mod」と呼ばれる拡張機能の仕組みを導入し、プロンプトの書き換えやツール権限の制御をTypeScriptで実装できるようになったことを詳しく紹介している。
プロンプトそのものを書き換えられる拡張機能
Claude CodeのModシステムの核心は、エージェントの動作ロジックに直接介入できる点にある。
従来のカスタマイズといえば、プロンプトのテンプレートや再利用可能な指示のまとめ程度に留まることが多かった。しかしModは、Claude Codeのイベント処理パイプラインの前・後、あるいは代替として割り込める。具体的にできることは以下の通りだ。
- モデルに届く前のプロンプトを書き換える
- ツール呼び出しをブロックまたはリトライする
- パーミッション要求を承認・拒否する
- ツールの出力からシークレット情報を自動的に秘匿(redact)する
- インターフェースにカスタムパネル・ボタン・入力欄を追加する
実装はTypeScriptで数行から書けるとされており、Claude Codeに「Modを書いて」と依頼すれば、そのままセッション中にインストール・リロードまで行える。
公式サンプルModが示す実用性
Anthropicが公開しているサンプルModは、システムの活用幅を端的に示している。
Blast Radius が最も実用的だろう。rm -rf やGitの強制プッシュ、ハードリセットといった「取り返しのつかないシェルコマンド」を実行前に一時停止させ、影響範囲をユーザーに提示してから続行するかを確認させる仕組みだ。AIコーディングエージェントが自律的にコマンドを実行する場面では、こうした安全弁の需要は高い。
他にも、Token Weather はコンテキストウィンドウの使用量と直近12ターン分のスパークラインを表示する。Replay Theater はターン内のファイル編集を記録し、差分をステップごとに確認できる。
既存のプラグインシステムとの関係
元記事によれば、AnthropicはClaude Codeのプラグインシステムをすでに導入済みで、コマンド・サブエージェント・MCPサーバー・フックをパッケージ化して共有する仕組みを提供していた。
Modはこのプラグインシステムの上に乗る形で追加されたものだ。従来の「フック」もある程度のカスタマイズを提供していたが、イベントの書き換え・新UIの描画・組み込み機能の置き換えはできなかった。Modはその制約を取り除く。
象徴的なのは、Anthropicが自社の組み込み機能である /diff をModシステムに移行した点だ。ユーザーは /diff を無効化したり、独自の実装に差し替えたりできる。Anthropic自身の機能が外部開発者と同じ拡張機構で提供される形になっており、製品としての境界線が変わりつつある。
セキュリティ上の注意点は明確に存在する
Anthropicは公式発表の中でリスクを率直に認めている。ModはサンドボックスされておらずClaude Codeと同等のマシンアクセス権を持つ。パーミッション要求やツール呼び出しに影響を与えられるため、Modのインストールは実質的にそのパブリッシャーのコードをエージェント権限で実行することを意味する。
Anthropicは「信頼できるソースからのみインストールすること」と明示している。
企業向けの制御機能も用意されている。TeamおよびEnterpriseプランの管理者は、プラグインマーケットプレイスの利用を許可・ブロックできる。管理設定が適用されたマシンでは、sec-default という組み込みModが最初にロードされ、パーミッション拒否ルールの上書きといったリスクのある操作を制限する。管理者が独自Modをロードする場合も、sec-default を含めることでこの制限を維持できるとAnthropicは説明している。
利用方法
ModはClaudeディレクトリ、またはCLIの /plugin コマンドから導入できる。ターミナル・デスクトップアプリのどちらか、あるいは両方を対象に設定でき、複数のModをロード順に重ねて適用することも可能だ。
Modの仕組みは、AIエージェントの「動作の透明性」と「開発者による制御」を両立しようとする試みとして注目に値する。プロンプトエンジニアリングやエージェントのガバナンスに関心を持つ開発者にとって、実装を通じた知見を得る機会になるだろう。なお、Modの作成に関する詳細は元記事内のリンクから参照できる。
詳細はAnthropic lets Claude Code mods rewrite prompts and approve tool permissionsを参照していただきたい。