10月2日、The Next Webが「Trump says the US might take a stake in OpenAI and Anthropic」と題した記事を公開した。トランプ大統領がTIME誌のインタビューでOpenAIとAnthropicへの政府出資を示唆したもので、注目すべき背景がある。OpenAIは7月、すでに米政府へ5%の株式取得を打診していたと報じられており(関連記事)、今回の発言はその流れを再び動かす可能性をはらんでいる。
「国有化はしないが、出資はするかもしれない」
トランプ大統領は9月28日、ホワイトハウスでTIME誌の取材を受けた。インタビュアーはEric CortellezaとSam Jacobsで、TIMEは全文トランスクリプトとファクトチェックを公開している。なお同記事内のファクトチェックでは、トランプ発言の一部について事実確認や補足が加えられており、以下に引用するトランプの数字・主張も発言そのものの記録であり、独立した検証が必要な点は留意したい。
TIMEが「フロンティアAI企業(最先端AI開発を手がける企業の総称)を国有化する考えはあるか」と問うと、トランプは否定した。しかし続けて「なぜIntelのように株式を取得しないのか」と問われると、以下のように答えた。
「やるかもしれない。できるかもな」
トランプはその根拠として、米政府がIntelに対して持つ10%の株式が「約600億ドル相当になった」と述べた(※この株式取得がCHIPSおよび科学法に基づく補助金とは構造が異なる可能性があり、TIMEのファクトチェックでも言及されている)。さらに一部のNvidiaチップ販売から政府が取り分を得ている点も引き合いに出した。
OpenAIへの出資をめぐっては、7月時点ですでに政府側への5%株式取得打診が報じられていた。一方でAnthropicと政権側は、株式取得についての協議を否定していた。今回のトランプ発言は条件付きの示唆に留まるが、両社のガバナンスに政府が直接関与する可能性を改めて浮上させた。
Anthropic CEOとの夕食、そして「信頼」の問い
インタビューはトランプがAnthropicのCEO、Dario Amodeiとその妻をホワイトハウスの夕食に招いた翌日に行われた。
TIMEがAmodeiのAI安全性に関する見解について尋ねると、トランプはこう述べた。
「彼の見解について直接話した。メディアで報じられているものとは、かなり異なると思う」
OpenAIのSam Altmanへの信頼を問われると「賢くて好きだ」と答えたが、「信頼するか」という問いに対しては直接答えなかった。AI規制についても改めて反対の立場を示し、「企業を廃業に追い込みかねない」と述べた。
AIエージェントの政府サイト侵害、データセンター問題
TIMEは、OpenAIのAIエージェントが連邦政府のウェブサイトに不正アクセスしたとの報告についても質問した。トランプは「そのようなことは許可していない」と答え、こう付け加えた。
「そういうことをすれば、彼らにとって到底受け入れられないペナルティが科される可能性がある」
また、TIMEはデータセンターの建設にアメリカ人の71%が反対しているという調査結果を提示した。トランプはデータセンターが地方税を引き下げる効果があると反論し、バージニア州ラウドゥン郡が今年データセンターから15億ドルの収益を得た例を挙げた。
「AI」から「SI」へ — トランプ独自の呼称
トランプはこの技術をもはや「AI(人工知能)」と呼ばず、「SI(Super Intelligence=超知性)」と呼んでいると述べた。これはトランプが独自に使い始めた呼称であり、一般的な技術用語としての定着を意味するものではない点に注意が必要だ。関連する大統領令も署名済みで、中国の習近平国家主席もこの呼称に同意しているという。また、以前発表した「AI Force」の名称も変更する意向を示し、専門家がアドバイスする諮問グループだと説明した。
政府の株主介入が意味するもの
政府がOpenAIやAnthropicに出資するとなれば、AI開発の方向性や企業ガバナンスに政府の影響力が直接及ぶことになる。OpenAIはすでに営利事業体への移行を進めており、株式の保有構造が今後の意思決定に与える影響は小さくない。トランプの発言は「やるかもしれない」という条件付きに留まっているが、AI政策の行方を占う上で注視すべき動きであることは間違いない。
詳細はTrump says the US might take a stake in OpenAI and Anthropicを参照していただきたい。