10月1日、Daniel Leviが「BMW plans to use AI to cut 20% of management roles by mid-2027」と題した記事を公開した。BMWがAIを管理職削減の直接的な根拠として明示した点は、「AIで生産性を高める」という従来の企業発表とは一線を画す。影響を受ける可能性のある職は約8,000人、期限は2027年中頃だ。
AIが「生産性ツール」から「組織設計の根拠」へ
BMWは9月30日に開催したCapital Market Day(投資家・アナリスト向けに中長期戦略を説明する公式説明会)で、新CEOのMilan Nedeljković氏が管理職を20%削減する組織再編計画を発表した。削減目標の期限は2027年中頃だ。
これまで多くの企業が「AIで従業員の生産性を高める」と謳ってきた。BMWの発表が一線を画すのは、AIを管理職の「数」を減らす直接的な根拠として明示した点にある。Bloombergは次のように報じている。
「BMWはAIを活用して管理職の5分の1を排除する計画を持っており、コスト削減と収益性向上を目的とした構造改革の一環だ」
削減は上位の管理職にとどまらない。Reutersによれば、部門数と関連する管理職を20%削減し、その影響を下位の組織階層にも波及させる方針だという。また、Financial Timesは100名超の管理職をすでに削減済みと報じている。
背景:8,000人規模のホワイトカラー削減と連動
今回の管理職削減は、BMWが今年前半に合意したより大規模な人員整理の一部だ。対象は主にドイツ国内の管理・開発部門で、自発的退職プログラムを通じて数千人規模のホワイトカラー職を削減する。影響を受ける可能性のある職は約8,000人とされており、製造ラインの作業員は対象外だ。
BMWは「AIが8,000人全員を直接代替する」とは明言していない。AIを使って管理階層をフラット化し、意思決定の経路を短縮し、自動化によって業務効率を高める——その結果として人員を減らすという構図だ。
なお、同様のAI活用による組織フラット化の動きは自動車業界にとどまらない。MicrosoftやSalesforceといったテック大手でも管理職比率の見直しが進んでおり、BMWの発表はその流れと軌を一にしている。
収益回復が至上命題
この再編の根底にあるのはBMWの業績悪化だ。欧州での需要低迷、中国メーカーとの競争激化、米国での貿易摩擦が重なり、**2026年の自動車事業の営業利益率は1%〜3%**にとどまる見通しだ。
BMWはこれを2028年に3%〜5%、2030年代初頭に8%〜10%まで回復させる目標を掲げている。コスト削減以外にも、欧州向け低価格EVの投入、米国向け大型高級SUVの追加、次世代3シリーズのDingolfing(独)工場への生産移管、そしてドイツ国内の車両・バッテリー生産への約20億ユーロの投資を並行して進める。
AIの社内活用はすでに始まっている
BMWはAIを新たに導入するのではなく、すでに社内展開を進めている。購買部門では「AIconic Agent」と呼ばれる生成AIシステムを導入済みで、社内情報の検索や調達業務のアシストに活用されている。
製造・開発・サプライチェーン・品質管理といった工場レベルでのAI活用は以前から行われてきたが、今回の戦略はそれをバリューチェーン全体および内部プロセスにまで拡張するものだ。
「AIで生産性向上」の次のフェーズ
企業がAIの活用効果を訴えてきた数年を経て、BMWは「次の段階」の具体的な形を示した。管理階層を減らし、マネージャーの数を絞り、人間の階層構造を通じて処理されていた業務をソフトウェアに移行する——この動きが自動車業界にとどまるか、他業種に広がるかは今後の注目点だ。
詳細はBMW plans to use AI to cut 20% of management roles by mid-2027を参照していただきたい。