9月26日、PCMagが「Did AI Take Your Table? You're Fighting Agents for Popular Restaurant Bookings」と題した記事を公開した。この記事では、AIエージェントが人気レストランの予約システムに殺到し、人間のダイナーとテーブルを奪い合う実態について詳しく紹介されている。
AIエージェントがレストラン予約を"占拠"している
人気レストランのオンライン予約が以前にも増して困難になっている。その原因の一端は、AIエージェントが予約システムを自動で監視・リクエストし続けていることにある。
キャンセル枠の発生や新しいテーブルの解放を常時ウォッチするAIエージェントが登場したことで、人間が手動で予約サイトをリロードし続けるような"昔ながらの方法"では太刀打ちできない状況が生まれている。
「1時間に200リクエスト」——実例から見える問題のスケール
AI起業家のBrian Distelburger氏は、Hermes Agent、Obsidian、Telegramを組み合わせて構築した個人AIエージェント「Hannah」を日常的に使用している。彼はそのサブエージェントを使い、妻と訪れたい飲食店の空き枠をResyで監視させた。
しかしレート制限を一切設定しなかったため、エージェントは無制限にResyのシステムを叩き続けた。
「自分のサブエージェントがResyをどれだけの頻度でヒットしているか、まったく把握していなかった。レート制限を設けなかったのは、正直なところ、考えが及ばなかったから。動いているのが嬉しくて。その間、こいつはNBAファイナルのチケットを狙うかのようにシステムをハンマーで叩き続けていた。」(Brian Distelburger氏、X上の投稿より)
結果、Distelburger氏のResyアカウントは警告なしに停止された。復旧には約1ヶ月かかったという。
別のケースでは、JC Bahr-de Stefano氏がコンシェルジュ型AIサービス「Instinct」を経由してエージェントを動かした。このエージェントは1時間あたり約200件のAPIリクエストを24時間体制で送り続けた。
ターゲットとなったのはニューヨーク市の人気店「4 Charles Prime Rib」。元記事によれば、de Stefano氏のエージェントは2日間にわたって10分ごと、1ウィンドウあたり約18回のAPIコールを繰り返した結果、同一エージェントが1時間に100回以上Resyに接続し、システム側に検知されてアカウント停止となった。なお、「21日先の予約枠が午前9時に解放される」という仕組みへの言及については元記事の記述に基づいている。
de Stefano氏のアカウントはその後復旧したものの、Resyからは厳重な警告が届いた。
「今後、再度の不正利用が確認された場合は、Resyアカウントの永久停止、および関連するすべてのAmExカード商品の解約となる可能性があります。」
プラットフォーム側の対応と矛盾
OpenTableとResyはいずれも、自動化されたシステムによる予約取得を利用規約で禁止している。OpenTableは2025年中頃に「AIエージェントがユーザーに代わって行った行為についていかなる責任も負わない」という文言を規約に追加した(Internet ArchiveのWayback Machineで確認されている)。
American Express傘下のResyは、ボット的な挙動を示したユーザーを積極的にバンしている。
ただし、ここに矛盾がある。ResyもOpenTableも、自社が認めたAI統合は積極的に推進しているのだ。OpenTableはMeta、Google Gemini、ChatGPT、Copilot、Alexaと連携しており、ResyはChatGPTおよびClaudeとの統合を発表済みだ。もっとも、これらの公式連携では予約キューを飛ばす機能は提供されておらず、あくまでアラート設定や予約補助にとどまる。
Resyの共同創業者(現在は退社済み)のBen Leventhal氏はXで次のように述べている。
「Resyのようなプラットフォームの上に新しいサービス層が生まれるのは間違いない。消費者にとって大きなメリットになる。ただし、その層は正当かつセキュアに構築される必要があり、それこそが次に起こるべきことだ。」
「無料予約」は過去のものになるか
一部では、AIエージェントの普及により予約に手数料が発生するモデルへの移行が加速するとの見方もある。一方で、フードテック系スタートアップに携わる起業家のDeva Hazarika氏はXで冷静に指摘する。
「4 Charlesほどの人気を誇る店はほとんど存在しない。そういった店は、予約で数ドル稼ぐことよりも他の基準を重視している。座席サービスのあるレストランはあくまでホスピタリティ産業だ。」
エージェントを使えば競争で有利になれるのは事実だが、同じツールを多くの人が使い始めれば、エージェントを持たない人間がほぼ勝ち目のない状況になる。これは予約競争の問題というより、AIエージェントが社会インフラに接続され始めたときに生じる摩擦の典型例として捉えるべき事例だ。
詳細はDid AI Take Your Table? You're Fighting Agents for Popular Restaurant Bookingsを参照していただきたい。