9月25日、Help Net Securityが「Dataiku Agent Management reveals unmonitored AI agents」と題した記事を公開した。この記事では、企業内に散在する未監視のAIエージェントを横断的に可視化・管理するDataikuの新製品「Agent Management」について詳しく紹介されている。
「AIエージェントが何台動いているか」を答えられる企業はほぼない
サーバーの台数なら即答できる企業が、AIエージェントの数を聞かれると「よくわからない」と答える——これが現在の企業の実態だ。
Dataikuの CEO、Florian Douetteau はこう述べている。
「銀行に"サーバーは何台稼働しているか"と聞けば、小数点まで答えが返ってくる。"AIエージェントは何台動いているか"と聞けば、肩をすくめるか推測が返ってくる。誰かが意図してこうした状況を作ったわけではない。チームがエージェントを、誰も数え切れないほど速く作り続けた結果だ」
IBMの「AI in Motion」調査によれば、AIシステムの完全かつ最新のインベントリ(台帳)を保持している組織は5社に1社未満という。背景にある構造的な問題は明確だ。ほとんどのエージェントプラットフォームは、自社プラットフォーム上で構築されたエージェントしか把握できない。AWS Bedrock で作ったエージェントはAWSが見えても、Salesforce や Microsoft の環境で動くエージェントまでは見えない。結果として、企業全体のエージェント資産の大半が、オーナー不明・目的不明・リスク不明のまま稼働し続ける。
Agent Management の構造と対応プラットフォーム
Dataikuが発表した Agent Management は、単一ベンダーのスタックに縛られない「プラットフォーム非依存」の設計を採用している。対応プラットフォームは以下のとおりだ。
- AWS Bedrock
- Databricks Agents
- Google Vertex
- Microsoft Copilot Studio / Azure Foundry
- Salesforce Agentforce
- Snowflake Cortex
- Dataiku 自身
- カスタム環境向け:OpenTelemetry 対応(※分散システムの観測基盤として広く使われる標準仕様)
これらすべてに接続し、単一のインベントリとしてスキャン・統合する。各エージェントの構造——どのツールを使い、どのモデルに依存しているか——を自動的に識別し、「エージェントが存在する」だけでなく「どう動いているか」まで透明化する。
特に設計として注目されるのが、高リスクエージェントへの集中管理だ。顧客対応・機密データ処理・ライブトランザクション処理を担うエージェントに対しては、認定(certification)の状態、識別済みリスクの一覧、スケジュール再実行されるテスト結果を継続的に記録する。監査対応や規制当局からの問い合わせが来た時点で、証跡がすでに存在している状態を作るという設計思想だ。「後から掘り起こす」ではなく「常に用意されている」。
また、Agent Management が解こうとしている問いはセキュリティだけではない。ビジネスパフォーマンスの測定も中核機能の一つだ。担当者がポートフォリオ全体に対して自然言語で問い合わせると、「監視されていないエージェントはどれか」「リスクが集中しているのはどこか」「コストに見合っているエージェントはどれか」といった問いに横断的な回答が返る。単一プラットフォームのモニタリングツールでは、この問いに答えることができない。
導入を検討する際の留意点
記事の段階では、Agent Management の価格・提供形態・GA(一般提供)かベータかの別について明示的な言及はない。CTO・CISO・AI統括部門が導入を具体的に検討する際は、Dataikuへの直接問い合わせで確認することになる。
なお、AI規制の観点については、EU AI Actをはじめとする規制強化の潮流の中で監査証跡の自動蓄積が実務上の重要性を増しているのは事実だが、元記事における当該規制への具体的な言及の有無は確認できていない点を付記しておく。(※編集部の考察)
従来のエージェント監視は「自社プラットフォーム優遇」の設計が前提になっていた。Agent Management はそこを意図的に外し、スタックの上位レイヤーに位置することで、ベンダー横断の全体像を提供する。エージェントのガバナンスを本格的に整備したいCTO・CISO・AI統括部門にとって、実用的な選択肢になりうる製品だ。
詳細はDataiku Agent Management reveals unmonitored AI agentsを参照していただきたい。