9月25日、CNBCが「How recent grads and college students should be thinking about AI, the CV, and the job market」と題した記事を公開した。150社に応募しても面接は2件、「プロセスが非人間的で気が滅入る」——そう語る大学生の声が、AI採用ツールの普及によって激変した新卒就職市場の現実を端的に示している。この記事では、若い求職者が直面している構造的な問題と、その中で取るべき対応について詳しく紹介されている。
新卒の失業率が5.7%、「150社に応募しても」という現実
まず数字から見ておく。ニューヨーク連邦準備銀行によると、2026年6月時点で22〜27歳の大卒者の失業率は5.7%。これは全米平均を大きく上回り、2年前の同世代と比べて1ポイント上昇している。さらに深刻なのが「アンダーエンプロイメント率(学士号を必要としない仕事に就いている大卒者の割合)」で、これが**42%**に達している。全大卒者平均の33.7%と比べても、若い世代に偏って高い。
記事中に登場するセトン・ホール大学の学生Michela DiLorenzo氏の取材では、50社に応募して面接が2件だったという学生や、150社に応募し「プロセスが非人間的で気が滅入る」と語った学生が紹介されている。
AI審査ツールが選考の入口を覆う
なぜこれほど面接にたどり着けないのか。LinkedInの2026年の調査によると、**採用担当者の66%がAIを使った事前審査の活用を増やす計画を持っていた。一方、求職者の81%**がすでにAIを就職活動に使っているか使う予定だと回答している。
書類選考の段階がほぼ自動化されることで、応募者は人事担当者の目に触れる前に脱落するリスクが高まっている。学生側はこれに対応しようと、求人票の言葉遣いに合わせて職務経歴書を調整したり、AIツールで文章を最適化したりしている。
「AIスキルを書いても意味がない」→ 実績で示す時代へ
学生就職支援プラットフォームのHandshakeが興味深いデータを示している。2026年卒の学生がレジュメにAIスキルを記載した比率は、2022年卒の2倍。ただし、その記載の74%が授業ではなく実際のプロジェクトに紐づいている点が特徴的だ。
Handshakeは次のように述べている。
「早期人材はAIによって代替されているのではなく、増幅されている。AIドリブンな労働市場では、レジュメだけでは不十分だ」
採用側でもAIスキルへの要求は高まっている。全米大学・雇用主協会(NACE)の調査では、AIスキルへの言及が春の求人票の16.5%に含まれており、昨秋の10.5%から上昇している。全体では28%の雇用主がAIを活用できる早期キャリア人材を求めていると回答した。
Gen Zとの「断絶」
一方で、NACEは学生側との認識のギャップを「striking disconnect(著しい断絶)」と表現している。卒業直前の学生を対象にした調査では、約3分の1がAIスキルは「自分のキャリアにほとんど重要でない」と回答。半数以上がAIスキルを将来に向けて身につけておらず、就職活動にも使っていないと答えた。
NACE会長兼CEOのShawn VanDerziel氏は、「雇用主が卒業生にAIへの準備を求めている一方で、Gen Zの相当数はそもそもAIが自分たちの仕事に必要かどうか疑問視している」と指摘している。
企業がAIを積極採用するほど、若手は蚊帳の外に
労働市場調査会社Revelio LabsのCEO、Evan Sohn氏は、AIの活用が進んでいる企業ほど採用速度が速いと指摘する。ただし、その恩恵が新卒に及ぶかは別の話だ。これらの企業がシニアレベルの採用を優先しているためで、Sohn氏は「AIは本当にエントリーレベルの人材が入り込むのを難しくしている。22〜25歳はまさに埋もれてしまっている」と述べた。
その上でSohn氏のアドバイスはシンプルだ。「AI-forwardであれ。AIに関して誰よりも先に行け」。
ニューヨーク連銀は、AIが採用全体の減速の「主因ではない」と現時点では慎重な見解を示しているが、エントリーレベル職への影響は研究途上であり確定的な結論は出ていない。就職活動の自動化が加速する中で、学生にとっては「スキルを主張する」ではなく「実績で示す」戦略がより重要になりつつある。AIツールを授業外の実プロジェクトに積極的に組み込み、その成果をレジュメで具体的に示すことが、自動選考の壁を越えるための現実的な一手といえる。
詳細はHow recent grads and college students should be thinking about AI, the CV, and the job marketを参照していただきたい。