9月23日、Kayla Solinoが「Nearly 70% of workers use AI regularly now」と題した記事を公開した。米国企業の会社員1,000人を対象にしたWorkeraの大規模調査によると、ChatGPT以外のAIツールを週に数日以上使う従業員は67.8%に達し、昨年の39.9%から約28ポイントも急増した。ところが、56.4% の従業員は就業時間内にスキルアップの時間が取れないと回答しており、利用拡大と育成支援の間に大きな乖離が生じている実態が浮かび上がった。
AIは「普及期」を過ぎ、「活用格差」の時代へ
AIスキル開発プラットフォームを提供するWorkeraが2026年9月23日に公開した「2026 State of Skills Intelligence Report」は、従業員5,000人以上の米国企業に勤める1,000人の会社員を対象にした調査だ。
Workeraは、スタンフォード大学でAIを研究していたKian Katanforoosh氏が創業したスタートアップで、AIスキルの評価・育成を企業向けに提供することを主軸に事業を展開している。同氏はAndrewNg氏とともにオンライン学習を牽引してきた経歴を持ち、スキル可視化の重要性を一貫して主張してきた人物だ。
最も目を引く数字は、**ChatGPT以外のAIツールを週に数日以上使う従業員が67.8%**に達したという点だ。昨年の39.9%から約28ポイントの増加であり、職場でのAI利用は急速に日常化している。
しかし調査が浮き彫りにしたのは、その利用拡大と裏腹に生じた構造的な問題だ。
「使ってはいるが、学ぶ時間がない」
調査結果を整理すると、以下の実態が見える。
- 56.4% の従業員が、就業時間内にスキルアップに充てる時間がないと回答
- 42.5% が、適切な学習教材の不足を課題として挙げた
- 84.3% が、週あたりのトレーニング時間は5時間以下
AIツールの利用率は上がっているが、それは「自己流」の利用にとどまる。46.5% の従業員が、雇用主から提供されていないツールを自発的にスキル開発に使っており、そのうち 74.6% がChatGPT・Claude・Geminiといった主流のAIツールを活用していると答えた。
Workeraの創業者兼CEOであるKatanforoosh氏はZDNETの独占インタビューでこう述べた。
「今すぐすべきことは、従業員にスキルアップの時間を与えることだ。あなたが時間を確保しなければ、彼らが勝手に解決策を見つけることはない。時間とともに、心理的安全性も生まれる。AIを試せる環境を作ること。」
昨年の調査では「AI固有のトレーニングを受けたことがない」従業員が大多数を占めていたが、今年は約6割がこの12ヶ月内にAI特化型トレーニングの機会を与えられたと回答している。研修機会は増えたが、それを実践する時間とリソースが追いついていない、というのが現状だ。
企業が取るべき打ち手
Katanforoosh氏は、解決策として以下の2ステップを示す。
- 「AIレディ」の定義を組織として明確にする
- その基準に対して従業員が自分のスキルを測定できる仕組みを作る
「基準があり、測定があり、インセンティブがあれば、人々は自発的に学習速度を上げる。」
Workeraはこの考えを体現する新プロダクトとして「Ambient」を開発・パイロット中だ。「Ambient(環境的・常時)」という名称が示す通り、このツールは従来のように「テストを受けてスキルを測る」形式ではなく、日常の業務フローの中でスキルを継続的・受動的に測定し続ける設計思想を持つ。既存のスキル評価ツールが「点での測定」であるのに対し、Ambientは「線での測定」を志向している点が大きな差異だ。現時点で1万人以上がウェイトリストに登録している。
調査では、41.1% の従業員が「自分がデータを所有し、共有内容を管理できるなら」継続的スキル測定ツールをオプトインすると回答し、さらに31.2%が検討中と答えた。プライバシーへの懸念は根強いが、一定の需要はある。
「AIに仕事を奪われる」より「AIを使いこなせるか」
調査の末尾に興味深い数字がある。76.6% の従業員が「自分はAIより仕事をうまくできる」と回答しており、「AIエージェントが自分の仕事の半分以上を効果的にこなせる」と答えたのはわずか 9.5% だった。
スキル評価においても、「AIは人間よりスキルを正確に評価できる」と考える人は 7% に過ぎず、「AIが人間のスキル評価を超えることは永遠にない」と答えた人が 38.5% にのぼる。
Katanforoosh氏は、AIを使いこなせない従業員が増えると「AIスロップ(AIが生成した低品質なアウトプット)」が増加すると指摘する。適切なトレーニングへの投資は、結果として組織が受け取るAI出力の質に直結するという論点は、現場のエンジニアにも刺さる視点だろう。
詳細はNearly 70% of workers use AI regularly nowを参照していただきたい。