9月22日、Microsoftが「The continued state of global AI diffusion in 2026」と題した記事を公開した。2026年第2四半期における世界のAI普及状況を詳報したレポートで、先進国(Global North)と途上国・新興国(Global South)の格差がさらに拡大していることが明らかになった。日本については、相対的な伸び率(約10%)が世界最大という注目すべき結果が示されている。
世界のAI利用率は18.8%——ただし格差は拡大中
Microsoftが公開したGlobal AI Diffusion Reportによると、2026年6月時点での世界のAI利用率は**18.8%**(生産年齢人口を母数として算出。同レポートの定義による)。2026年第1四半期から約1ポイントの増加で、ほぼすべての国・地域で利用が伸びた。
トップを走るのはUAE(73.3%)とシンガポール(64.3%)で、引き続き群を抜いている。四半期あたりの絶対値の増加が最大だったのは韓国で**+3.5ポイント**。ランキング上昇幅が最大だったのはサウジアラビアで、30位から25位へと5ランク上昇した。
日本に関しては、第1四半期の22.5%から**+2.2ポイントの成長で、相対的な伸び率(約10%)が世界最大**となった。なお、絶対値の増加幅トップは韓国の+3.5ポイントであり、日本が首位となるのはあくまで「元の水準に対する相対的な伸び率」の指標である点に注意が必要だ。
グローバルノースとサウスの格差が拡大
今回のレポートで最も注目すべきデータが、先進国(Global North)と途上国・新興国(Global South)の格差拡大だ。
- Global North(北米・西欧・日本など先進国群):28.8%
- Global South(アフリカ・東南アジア・ラテンアメリカなど):16.2%
なお、日本がGlobal Northに分類されている点は直感的でない場合もあるが、このレポートでは経済発展水準や技術インフラの成熟度に基づいた区分を採用しており、日本・韓国・オーストラリアといった非欧米の高所得国も同カテゴリに含まれている。
この差は前四半期からさらに開いており、AIの恩恵が世界に均等に届いていない現実を示している。
利用の中身にも差がある。MicrosoftのCopilot利用データを分析すると、Global Southでは教育・学習目的での利用比率が高いという傾向が確認された。インフラや経済的制約のある地域ほど、AIを生産性ツールとしてではなく学習手段として使っている構図だ。
オープンウェイトモデルの台頭——Global Southへの影響
今回のレポートが別途セクションを設けて論じているのが、オープンウェイトAIモデル(重みが公開されているモデル。LlamaやMistralなどが代表例)の普及だ。
API経由のAI利用において、オープンウェイトモデルが処理するトークン量のシェアが拡大しつつある。Microsoftはこのトレンドが特にGlobal Southにとって重要だと指摘する。理由は明確で、アクセスコストの低下と現地言語・ニーズへの適応のしやすさだ。
ただし同レポートは楽観的な見方を抑制している。インフラ、接続環境、スキルといったボトルネックが依然として残っており、オープンモデルが普及の格差を自動的に埋めるわけではないとしている。
測定方法と今後の拡張
このレポートの数値はMicrosoftのテレメトリデータを集計・匿名化したもので、OSやデバイスのシェア、インターネット普及率、人口などを補正して算出されている。詳細な手法はAI Diffusion技術論文に記載されている。
測定対象についても重要な留保がある。現行の測定手法では中国での利用を過小評価している可能性をMicrosoftは認識しており、次回レポートでは測定対象を拡張し、新たなAIツールやモデルの利用も含める予定だという。この変更によってほぼすべての国でAI利用者シェアが増加する見込みで、特に中国での増加幅が大きくなると予測されている。測定範囲の変化がどの程度数値に影響するかは、次回レポートで明らかになるだろう。
データの詳細はインタラクティブダッシュボードでも確認できる。
詳細はThe continued state of global AI diffusion in 2026を参照していただきたい。