9月21日、Maximilian Schreinerが「SoftBank to borrow over $11 billion in risky bonds for OpenAI stake」と題した記事を公開した。SoftBankが世界最大規模のAI企業への出資金を、「ジャンク債」と呼ばれる高リスク社債で賄おうとしている——この事実は、AI投資バブルの中でも異質な資金調達の構図として注目を集めている。
SoftBank、OpenAI出資にジャンク債110億ドル超を充当へ
Financial Times(FT)が投資家向け資料を基に報じたところによると、SoftBankはOpenAIへの出資金の一部として、100億ドルと10億ユーロ相当の債券を発行する計画だ。債券の条件は(現地時間)木曜日に確定し、OpenAIへの支払いは10月を予定している。
問題はその債券の種類だ。これらはジャンク債(高利回り債、Junk Bond)と呼ばれる高利回り・高リスクの社債で、信用格付け機関による評価が投資適格水準(BBB−以上)を下回る発行体が利用する手段にあたる。投資家が元本を回収できないリスクが一般の投資適格債よりも高い分、より高い金利が設定される。FTによれば、直近では他の大手テック企業の多くがより安全な投資適格債を発行しており、SoftBankの手法は異質だ。
なお、SoftBankの長期債はムーディーズ・S&Pいずれも非投資適格(いわゆる「ジャンク」)格付けに位置づけられており、構造上、投資適格債の発行市場へのアクセスが制限される状態にある。ただし、SoftBankがジャンク債を選んだ理由が格付けのみによるものかどうかは、元記事は明示的に断定していない点には留意が必要だ。
短期ローン4兆円超からの「借り換え」が背景に
今回の債券発行を理解するには、その前段となる短期調達の経緯を押さえる必要がある。SoftBankはすでにOpenAI向けに最大400億ドル(約6兆円)の短期ローンを手配済みだった。今回のジャンク債発行は、この短期借入を長期債務へ借り換えるための措置と位置づけられる。
ただし、この借り換えによってSoftBankは一時的に自社の債務上限を超過する可能性があるとFTは指摘している。孫正義率いるSoftBankがAI投資に積極的なのは周知の事実だが、その資金調達の構造が通常のテック投資と一線を画すリスクプロファイルを持つことが、今回の報道で改めて浮き彫りになった。
SoftBankによるOpenAIへの大規模出資については、2025年初頭のトランプ政権発足直後に発表された5,000億ドル規模のAIインフラ投資計画「Stargate」でも注目を集めた経緯がある。今回の債券発行はその文脈とも地続きだ。
OpenAIの資金消費ペースも桁外れ
資金を受け取るOpenAI側の事情も見逃せない。FTによれば、OpenAIは2030年末までに約2,800億ドル(約42兆円)のキャッシュを消費する見込みだ。モデルのトレーニングやデータセンター拡張にかかるコストが積み上がり続けており、外部からの資金調達への依存は今後も続く構造にある。
OpenAIは2024年秋に157億ドルの資金調達ラウンドを完了しており、その際の企業評価額は1,570億ドルに達した。今回のSoftBankからの出資はそれを大幅に上回る規模であり、OpenAIの資金需要が急速に膨らんでいる実態を示している。
SoftBankのデータセンター事業もOpenAIとの契約を将来の収益源として当て込んでおり、両社の運命は深く絡み合っている。
「ハイリスク」な賭けの構図
AI投資の過熱が続く中、SoftBank・OpenAI間の資金の流れは巨額かつ複雑だ。整理すると以下のようになる。
- 短期ローン(既存): 最大400億ドル、OpenAI向けに確保済み
- 今回の債券発行: 100億ドル+10億ユーロのジャンク債で、上記ローンを長期化
- OpenAIの資金需要: 2030年末までに推定2,800億ドル規模
他の大手テック企業が比較的低コストな投資適格債で資金調達できる環境の中、SoftBankが高利回り・高リスクのジャンク債を選ばざるを得ない構造は、同社の財務的な立ち位置を象徴している。AI産業への大規模な資本流入は続いているが、その調達手段にどこまでリスクを取れるかが、今後の焦点になる。
詳細はSoftBank to borrow over $11 billion in risky bonds for OpenAI stakeを参照していただきたい。