9月17日、Inside AI News が「OpenAI Seeks $1.5 Trillion Valuation in New Funding Round」と題した記事を公開した。OpenAIが新たな資金調達ラウンドで1.5兆ドルの評価額を目指して投資家と交渉しているという内容だ。ただし、Inside AI News は記事末尾で「具体的な評価額や交渉の現状を独自に確認できていない」と注記しており、以下の内容はその前提のもとで読む必要がある。
投資家側が提示した1.2兆ドル、OpenAI側は1.5兆ドルを要求
今回の資金調達交渉は、OpenAI側からではなく投資家側から持ちかけたという経緯がある。それでも、OpenAIは投資家が当初提示した評価額1.2兆ドルを拒否し、自社の最新AIモデルの進歩を根拠に1.5兆ドルを主張しているとされる。
その差額は3,000億ドル。誤差の範囲ではなく、OpenAIが今後も業界トップであり続けられるかどうかへの巨額の賭けだ。
1.5兆ドルという評価額が実現すれば、OpenAIは即座に世界でも有数の企業と肩を並べる。記事ではMicrosoft(時価総額3兆ドル超)、Apple、Nvidia(2024年にAIチップ需要で時価総額3兆ドル超に到達)が比較対象として挙げられている。OpenAIの経営陣は自社がそのカテゴリに属すると判断しているという。
問題は「その評価額に見合うか」だ
1.5兆ドルの評価額が正当化されるためには、OpenAIが年間数千億ドル規模の収益を生み出す企業に成長する必要がある。記事によれば、現在の売上高は数百億ドル規模と推定されており、そこからの乖離は依然として大きい。
なお、この売上推定はInsideAI News が独自確認したものではなく、市場観測に基づく数値であることに留意されたい。
新規投資家がリターンを得るには、OpenAIがさらに2〜3倍の成長を実現しなければならない計算になる。過去に評価額800億ドルや3,000億ドルで参加した投資家はすでに大きな含み益を持つが、今から参加する投資家にとってはハードルが格段に上がる。
リスク要因は減っていない
記事はOpenAIが抱えるリスクをいくつか列挙している。
- 著作権訴訟:複数の訴訟が継続中
- 規制の圧力:EUおよび米国で規制当局の監視が続く
- 非営利から営利法人への移行をめぐる内部対立
- 安全性の懸念:安全研究者は、モデルのリリースペースが自社の理解速度を上回っていると警告
競合環境も厳しい。Google、**Anthropic、Meta、xAI**いずれも有力なモデルを持ち、ユーザーの乗り換えコストは依然として低い。Anthropicも2024年に数十億ドル規模の資金調達を実施しており、OpenAIへの対抗軸として存在感を増している。
AI投資市場全体への波及
この交渉の結果は、OpenAI単体の話にとどまらない。
2024〜2025年に高評価額で調達したAIスタートアップの多くが、その後の資金調達で評価額を正当化できずに苦しんでいる。パブリック市場の投資家もAIへの投資選別を始めており、評価額の妥当性への問いは業界全体に広がっている。
記事が指摘する核心はここだ——投資家が1.5兆ドルを受け入れれば、バブル論が強まる。拒否すれば、AIセクター全体の資金調達の前提が変わる。 Inside AI Newsの報道が独自確認を伴わないものであることを踏まえても、この問い自体の意義は変わらない。OpenAIの今回の交渉は、業界全体の評価基準を左右するテストケースとして注目されている。
なお、現時点でディールの正式発表はなく、交渉の詳細は引き続き不明確な状態にある。
詳細はOpenAI Seeks $1.5 Trillion Valuation in New Funding Roundを参照していただきたい。