9月16日、TechCentralが「OpenAI, Google and Anthropic agree to collaborate on AI safety」と題した記事を公開した。この記事では、競合関係にあるOpenAI・Google DeepMind・Anthropicの3社がAI安全性の確保に向けて協力体制を構築したことについて詳しく紹介されている。
競合3社が安全性で連携
Bloombergの報道によれば、OpenAIはメインの競合であるGoogle DeepMindおよびAnthropicと、AI安全性に関する協力関係をすでに数週間にわたって維持している。この事実を明かしたのは、OpenAIでグローバルアフェアーズを担当するChris Lehane氏で、ワシントンでのブリーフィングで語った。
Lehane氏は「集団的な安全の確保は、独占禁止法の適用除外を得る必要性を上回る」と表明した。また、競合他社が数十年にわたって安全基準の向上に協力してきた航空業界との類比を引き合いに出している。AI産業においても同様の姿勢が求められるという考え方だ。
背景:Amodei論考が加速させた議論
この動きの契機のひとつとなったのが、Anthropic CEOのDario Amodei氏による大規模な論考だ。同氏は、先進的AIの潜在的な危険性を十分に理解するために開発のペースを落とすべきだと主張した。元記事によれば、この論考はAI安全性をめぐる業界内の議論を活発化させた背景のひとつとして位置づけられている。なお、元記事における他のAI企業トップの反応については、競合CEOによる直接的な支持表明として読み取れる記述については解釈に注意が必要であり、各社の姿勢の詳細は元記事を直接確認されたい。
立法面での動き、ただし前途は多難
OpenAIは米議会へのロビー活動も展開しており、壊滅的なAIインシデントを防ぐための超党派的な取り組みを支持する姿勢を示している。具体的には以下の議員が主導する政策枠組みを支持している。
- 下院:Jay Obernolte議員・Lori Trahan議員
- 上院:John Thune議員・Ted Cruz議員・Amy Klobuchar議員
また、Jim Banks上院議員とAdam Schiff上院議員が提出した法案は防衛法に組み込まれる見通しで、生物学的脅威・サイバー攻撃・中国のスパイ活動に関するデータ共有について、独占禁止法の限定的な適用除外を設けるものとなっている。
ただし、年内に立法が実現する可能性は低い。下院は11月の選挙に向けて休会に入り、その後の会期は軍事費の優先が見込まれる。さらに、現政権はAI規制の導入を強く批判しており、存在論的リスクへの警告を「でっちあげ」と切り捨てている。規制の整備を待たずに技術開発だけが進む状況が続く可能性がある。
「競争より安全」という姿勢の実質
今回の協力体制で特筆すべきは、独占禁止法上のリスクを承知の上で安全性を優先するという経営判断だ。Lehane氏の発言は、法的保護がなくとも協力を継続するという意思表示と読み取れる。
AI安全性をめぐる企業間の自主的な協調という枠組みは、航空・製薬など他産業でも見られる安全基準の業界共有モデルを想起させる。競合他社同士が知財や市場シェアを争いながらも、安全に関わる基準や知見を共有するという考え方は、規制当局が整備される前段階として業界が取りうる現実的な選択肢のひとつといえる。
一方で、3社の協力の具体的な内容(共有する情報の範囲、技術的な協調の深度など)は現時点では明らかにされていない。競合間の情報共有がどこまで実質的なものになるかは、今後の注目点である。
詳細はOpenAI, Google and Anthropic agree to collaborate on AI safetyを参照していただきたい。