9月15日、Moritz Försterが「Firefox 156: PDF viewer starts up to 45 percent faster」と題した記事を公開した。この記事では、Firefox 156における統合PDFビューアの大幅な高速化を筆頭に、ARM64 Windows向けのWebRTCハードウェアアクセラレーション対応など、複数の注目すべき改善点が紹介されている。
Firefoxは現在、シェア争いでChromeやEdgeに対して厳しい立場に置かれている。そうした中でMozillaが力を入れているのが、日常的なユースケースでの体感速度の改善だ。今回のFirefox 156はその方針を体現したリリースと言える。
PDFビューア、起動速度が最大45%向上
Firefox 156最大のトピックは、統合PDFビューア(PDF.js)の起動速度が最大45%高速化されたことだ。PDF.jsはMozillaが開発するオープンソースのJavaScriptライブラリで、ブラウザ内でPDFをネイティブにレンダリングする。大きなPDFを開いたときの初期表示の遅さはユーザーから長年指摘されてきた課題であり、今回の改善はその問題に正面から応えるものだ。
あわせて、大きなJPEG画像を表示する際のメモリ・CPU使用量も最適化された。Webページ上で高解像度写真が縮小表示される場面でのRAMとプロセッサ消費が削減され、画像の多いメディアサイトやECサイトでの閲覧負荷が下がることが期待される。
ARM64 Windows向けにH.264のハードウェアデコードを追加
ARM64プロセッサを搭載したWindowsデバイスでは、WebRTCビデオ会議のH.264デコードがGPUハードウェアアクセラレーション対応となった。これまではソフトウェアデコードに頼っていたため、ビデオ通話中のCPU負荷が高くなりやすく、バッテリー消費にも影響していた。今後はGPUや専用デコーダを活用することでこれらを改善できる。
WebRTCはGoogle MeetやWherebyなどブラウザベースのビデオ通話を支えるオープン標準仕様だ。Qualcomm Snapdragon X搭載の「Copilot+ PC」をはじめとするARM Windowsデバイスの普及が加速する中、プラットフォーム固有の最適化の重要性は増している。
その他の機能追加
アドレスバーのサジェスト強化(ドイツ・フランス・イタリア)
Firefox Suggestの一環として、ドイツ、フランス、イタリアのユーザー向けにローカライズされたWikipedia候補とスポンサー広告が表示されるようになった。不要であればFirefox Suggestの設定から無効化できる。
macOSのログイン時自動起動オプション追加
Macでシステム起動時にFirefoxを自動的に開くオプションが、ブラウザ設定の「スタート」セクションから設定できるようになった。これまではmacOSのシステム設定を経由するか、独自の回避策が必要だった。
主なバグ修正
機能追加に加えて、以下のバグも修正されている。
- リッチテキストエディタで画像を移動すると大量のテキストに置き換わる問題
- ピクチャーインピクチャーウィンドウを開いた後に字幕を有効化しても字幕が表示されない問題
- ブックマークサイドバーでフォルダとその中の項目を同時にドラッグするとフォルダ外に移動してしまう問題
- Firefox 155で導入されたスプリットビュー(タブの分割表示機能)で2ペインを入れ替えた後に検索バーが操作不能になる問題
- DNS over HTTPS有効時にHTTP非対応サイトで読み込みが失敗する問題
- Mozilla VPN利用時に一部ユーザーの全ネットワーク接続が切断される問題
- Windowsの自動非表示タスクバーに関する問題
セキュリティ修正についてはMozilla Security Advisory mfsa2026-90を、エンタープライズ向けにはFirefox Enterprise 156リリースノートを参照のこと。
詳細はFirefox 156: PDF viewer starts up to 45 percent fasterを参照していただきたい。