9月15日、Futurismが「Bernie Sanders Proposes Banning Superintelligent AI and Imprisoning Developers for 20 Years」と題した記事を公開した。バーニー・サンダース上院議員が超知性AI(superintelligent AI)の開発禁止と、違反した開発者への最大20年の禁固刑を盛り込んだ法案を正式に議会へ提出したと報じている。
「ブレーキを踏め」——サンダースが強硬法案を提出
バーモント州選出のバーニー・サンダース上院議員(無所属)が今月、「Ban Artificial Superintelligence Act(人工超知性禁止法)」を正式に議会へ提出した。法案の目的は「AIの寡頭支配者たちが人間の制御不能なマシンを構築するのを阻止すること」とされている。
サンダース議員はAnthropicのCEO、ダリオ・アモデイが発表した「We Must Pace the Frontier」と題した論考——業界に対してサードパーティ評価者の受け入れ、共通安全基準の策定、民主主義国家間での協調を呼びかけた内容——を受け、X(旧Twitter)でこう投稿した。
「ダリオ・アモデイ、イーロン・マスク、サム・アルトマンはAI開発を減速させ『フロンティアのペースを調整』しなければならないという点で一致している。それは一歩前進だが、十分ではない。崖に向かって走っているとき、アクセルを緩めるだけでは足りない。ブレーキを踏むべきだ。」
法案の中身:違反すれば核兵器開発と同等の刑事罰
この法案の最大の特徴は、その罰則の重さにある。
法案が成立した場合、AI開発は「連邦規制当局が安全規則を確立するまで」停止される。それを無視して超知性AIの開発を試みた者には、最大20年の禁固刑が科される。法案は「これは核兵器の違法開発に関する既存の罰則と同等の水準」だと明記している。
「超知性AI(superintelligent AI)」とは、あらゆる知的タスクにおいて人間の能力を大幅に上回るAIシステムを指す概念で、現時点では実現していないが、AnthropicやOpenAIといったフロンティアラボが到達点として念頭に置いている技術水準だ。
法案提出の背景——OpenAIとHugging Faceをめぐる問題
今回の法案提出の直接的な背景として、機械学習コミュニティの中心的プラットフォームであるHugging Faceに関連してOpenAIが問題視される事態が発生していた。この件を受け、上院の小委員会がOpenAIとその対応について調査を開始したとAxiosが報じている。
サンダース議員はこれ以前にも強硬な姿勢を示しており、6月にはAI企業の株式に対して一度限りの50%課税を行い、その資金を政府管理の公共基金に移すという構想を提案していた。
トランプ政権との真っ向対立
政治的な文脈も見逃せない。AI規制を巡っては、サンダース議員ら立法府の一部と、行政府のトランプ政権が完全に対立している。
トランプ大統領は同日、Truth Socialに「AIとデータセンターに対して病的な陰謀が進行している」と証拠を示さずに投稿し、AI減速論そのものを嘲笑した。トランプ政権がAIの減速に関心を示していないことは、業界内でも広く認識されている。
一方で記事が指摘する「奇妙な状況」がある。サンダース議員が規制の脅しをかけている相手であるAI企業のCEOたちが、政府によるルール設定に前向きな姿勢を見せているという構図だ。アモデイ、マスク、アルトマンの3者が「フロンティアのペース調整」で一致しているという事実は、その象徴といえる。
ただし、今回の法案が可決される見通しは現状では低い。それでも、AI規制の議論が立法レベルで具体的な条文として提示されるまでに至ったことは、業界にとって無視できない動きである。
詳細はBernie Sanders Proposes Banning Superintelligent AI and Imprisoning Developers for 20 Yearsを参照していただきたい。