9月11日、CNBCが「Oracle jumps 6% after reporting 30% revenue growth fueled by AI cloud demand」と題した記事を公開した。Oracleが2027会計年度第1四半期決算でクラウドインフラ収益121%増という驚異的な数字を叩き出す一方、1,000億ドル超の負債を抱えながら株価が年初来で21.5%下落しているという矛盾した構図が、今のOracle株を端的に表している。好決算なのに市場評価が低い理由こそが、この記事の核心だ。
クラウドインフラ収益が前年比121%増
最大の注目点は、クラウドインフラ収益の急拡大だ。
Oracle全体の第1四半期売上高は193.5億ドル(約2兆9,000億円)に達し、LSEGコンセンサス予測(機関投資家・アナリストの業績予想を集計した市場コンセンサス)の191.4億ドルを上回った。純利益は47億ドルと、前年同期の29.3億ドルから60%増を記録した。
その牽引役がクラウド事業だ。クラウド全体の売上高は前年比62%増の116億ドル。内訳を見ると、クラウドアプリケーション収益が10%増にとどまった一方、クラウドインフラ収益は121%増という突出した伸びを示した。AIワークロード向けデータセンターへの大規模投資が、数字として明確に表れてきた格好だ。
データセンター拡張とAI契約の規模感
Oracleは同四半期中に850メガワット分のデータセンター容量を新たに稼働させた。メガワット(MW)はデータセンター文脈では電力消費容量の単位であり、大規模AIワークロードの処理能力を示す指標として使われる。850MWは業界でも上位に入る規模だ。
また、AIクラウド契約の追加受注額は300億ドル超に上り、AI Cloudの顧客に対して30万基超のGPUを納入したことも公表している。Nvidia、Meta、OpenAI、AMD、xAIといった大手AI企業との契約がその背景にある。
好決算でも株価が沈む理由 ― 巨額負債と設備投資懸念
純利益60%増・売上高30%増という好決算にもかかわらず、Oracleの株価は年初来で21.5%下落している。この一見矛盾した状況を理解するうえで欠かせないのが、財務構造の問題だ。
データセンター建設の資金調達のため、Oracleはすでに1,000億ドル超の負債を抱えている。AI需要に応えるために設備投資を加速させるほど、バランスシートへの圧力が増す。市場が懸念しているのは「成長の持続性」よりも「いつ投資が回収できるか」という点であり、収益の急増と財務リスクの拡大が同時進行していることが株価の重しになっている。決算発表後のプレマーケット取引で6.2%上昇したのは、短期的な好材料への反応に過ぎない。
2027年度通期は売上高900億ドル以上を見込む
第2四半期のガイダンスとして、売上高の前年比成長率は30〜34%、クラウド収益の成長率は64〜70%を見込む。2027会計年度の通期売上高は少なくとも900億ドルに達するとの見通しを示した。
アナリストの見方
Citiのアナリストは買い推奨を維持し、「ほぼすべての項目で期待に応えた」と評価した。
"Oracle delivered a solid fiscal first quarter that checked nearly every box and reinforces the bull case heading into Investor Day"
— Citi(2026年9月11日付レポート)
一方で、2027年度の業績見通しについては「控えめ」かつ「保守的」と分析している。Investor Day(企業が機関投資家・アナリスト向けに中長期戦略を説明する説明会)およびAI Worldに向けて上方修正の余地があるとも指摘しており、現時点の予測が最終的な着地点にはならない可能性を示唆している。
つまり市場が株価を抑制している要因は、業績そのものへの失望ではなく、巨額投資が続く構造への警戒だ。Oracleがこの懸念を払拭できるかどうかは、Investor Dayでの資本配分方針の説明が一つの鍵になるとみられている。
詳細はOracle jumps 6% after reporting 30% revenue growth fueled by AI cloud demandを参照していただきたい。