2024年9月10日、TechCentral.ieが「TSMC books record revenue in August thanks to strong surge in demand for AI chips」と題した記事を公開した。**前年同月比53.3%増・ファウンドリ市場シェア72.5%**——TSMCが2024年8月に叩き出した数字は、AI半導体ブームが単なるバズワードでないことを改めて証明している。
8月の収益、前年比53%超えで過去最高を更新
TSMCの2024年8月の月次収益は5,148億台湾ドル(約139億ユーロ)に達し、過去最高を記録した。前年同月比で53.3%増、直前の7月比でも10.1%増となった。月次での成長は4ヶ月連続で続いており、AI関連需要の持続的な強さを示す形となっていた。
四半期ベースでも勢いは衰えていなかった。2024年第2四半期の利益は前年同期比77%超の増加を記録。2024年7月の四半期決算説明会では、第3四半期の売上高見通しを380億〜390億ユーロと示していた。
需要の中心は3nm・4nm・5nmの最先端プロセス
TSMCが2024年7月の決算説明会でAI向け半導体の需要を「異例の強さ」と表現したことは当時注目を集めた。特にAIサーバー向けチップの増産需要が集中していたのが、3nm・4nm・5nmといった最先端プロセスノードで、これらのラインはフル稼働状態が続いていた。
ファウンドリ(半導体受託製造)市場における同社のポジションも圧倒的だった。2024年第2四半期のシェアは72.5%に上った。比較として、Samsung Foundryが5.9%、中国のSMICが5.4%にとどまっており、その差は歴然としている。ファウンドリ市場全体でも、上位10社の合計収益は高性能コンピューティング向け部品の需給ひっ迫を背景に、約455億ユーロの過去最高を記録した。
TSMCは設計を持たない純粋なファウンドリ(受託製造専業)であるため、その業績はAIチップ市場の実需を映す指標として機能する。NVIDIAをはじめとするAIチップ設計企業の旺盛な発注が、収益数字に直接反映された格好だ。
2030年に向け、ASMLの「High NA EUV」技術を量産へ導入
将来を見据えた投資も動いていた。TSMCはオランダの半導体製造装置メーカー**ASML**と連携し、次世代製造技術の実用化を進めている。
具体的には、ASMLのHigh NA(高開口数)EUV露光装置を2030年までに先端ノードの量産ラインへ統合する計画だ。
EUV(極端紫外線)露光とは、13.5nmという非常に短い波長の光を使い、シリコンウェーハ上に微細な回路パターンを焼き付ける技術で、現在の最先端半導体製造には不可欠な工程だ。High NA EUVはその次世代仕様にあたり、レンズの開口数(NA)を現行の0.33から0.55へ高めることで、より微細なパターンを一度に露光できる。これにより、現行EUVでは複数回の露光工程(マルチパターニング)を要していた複雑なトランジスタ設計を、より少ない工程で実現できる見込みだ。
ただし導入コストは相当に高く、ASMLが出荷を開始したHigh NA EUV装置「EXE:5000」は1台あたり数億ユーロ規模とも報じられており、量産ラインへの全面統合には設備投資・プロセス開発の両面で大きなハードルが残る。TSMCが2030年という目標を掲げていることは、それだけ長期の開発期間を見込んでいることを示している。
数字で見るTSMCの現在地(2024年8月時点)
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 2024年8月収益 | 5,148億台湾ドル(約139億ユーロ) |
| 前年同月比成長率 | +53.3% |
| 前月比成長率 | +10.1% |
| 2024年第2四半期 利益成長率 | +77%超 |
| ファウンドリ市場シェア(2024年第2四半期) | 72.5% |
2024年時点のこれらの数字は、AI半導体需要が一時的な過熱ではなく、製造インフラの底上げを伴う構造的な変化であることを示している。TSMCがHigh NA EUVへの長期投資を進めている事実も、その確信の裏付けと読み取れる。
詳細はTSMC books record revenue in August thanks to strong surge in demand for AI chipsを参照していただきたい。