9月8日、Futurum Researchが「Snowflake Q2 FY 2027: CoCo and CoWork Expand AI Consumption」と題した記事を公開した。SnowflakeのQ2 FY2027決算においてAIコーディング支援ツール「CoCo」の累計採用アカウントが9,100超に達し、AI支援ツール群が製品収益の成長を数字として押し上げている実態が明らかになった。データプラットフォームのAIシフトが財務指標に明確に現れつつある。
AIが「別製品の話」から「消費増加の実態」へ
Snowflake(NYSE: SNOW)が発表したQ2 FY2027(2026年度第2四半期)の決算は、AIがプラットフォーム消費量の増加に直接結びついていることを示した。
主な財務指標は以下の通りだ。
- 総収益:15億5,000万ドル(前年同期比+35%、市場予想の14億9,000万ドルを上回る)
- 製品収益:14億9,000万ドル(前年同期比+37%)
- Non-GAAP営業利益:2億3,700万ドル(前年同期の1億2,760万ドルから大幅増)
- Non-GAAP希薄化後EPS:0.62ドル(前年同期の0.35ドルから増加)
CEOのSridhar Ramaswamy氏は「AIは事業全体でフライホイール効果を生み出している。CoWorkとCoCoは顧客に変革的な成果をもたらしながら、急速な採用拡大、ユーザー成長、新ワークロード、そしてプラットフォーム全体の消費増加を促進している」と述べた。
なお、「フライホイール効果」とは、複数の成長要因が相互に作用し合い、最初は勢いが出にくくても一度回り始めると加速度的に拡大していく自己強化型の成長サイクルを指す経営用語だ。Snowflakeの文脈では、AIツールの採用拡大→プラットフォーム消費増→収益成長→さらなる製品投資、という循環が意図されている。
Futurum Researchの分析では、今回の決算は「AIが製品収益を材料的に動かしている」点で前期より説得力が増したと評価している。一方で、AI関心の広がりを大規模なエンタープライズ展開へと転換できるかどうかが次の試金石だとも指摘する。
製品収益の37%増はAIツール単体の貢献だけで生じたものではなく、プラットフォーム全体の消費拡大が複合的に作用した結果であることには留意が必要だ。ただし、Futurum Researchは今回の決算においてCoCoとCoWorkが製品収益を「材料的に(materially)」動かしていると明示しており、その寄与は従前より具体的な形で認識されるようになっている。
CoCoがAIコーディングをプラットフォーム消費増に直結させる
今回最も目を引く数字がCoCo(AIコーディング支援ツール)の採用状況だ。元記事においてCoCoの正式名称の展開形は明示されていないため、本稿では製品名「CoCo」としてそのまま表記する。
当四半期中に2,000以上の顧客アカウントが新たにCoCoを使い始め、累計採用アカウント数は9,100超に達した。
CoCoの価値はコード生成やワークフロー自動化だけにとどまらない。注目されるのは、大規模なデータ移行プロジェクトへの適用だ。実例として、企業向けデータインテリジェンス企業のSayariは、120億件のレコード移行をCoCoで加速したという。データ移行は元来、プラットフォーム消費量が急増するフェーズであり、CoCoがそこに組み込まれれば、既存アカウント内の追加消費を自然に引き出せる。
Snowflakeがエンタープライズのデータエンジニアリング予算における自社シェアを広げるための実務的な入口として、CoCoは機能しつつある。
CoWorkがSnowflakeをエージェント型AIのプラットフォームへ押し上げる
CoWork(エージェント型AIワークフロー支援ツール)は5,800アカウントに拡大し、コード補助を超えた領域へSnowflakeのAI戦略を押し広げている。
エンタープライズAIにおける重要な課題の一つは「信頼できるデータの上でAIエージェントを動かせるか」という点だ。CoWorkは、エージェントがSnowflakeのガバナンス環境の内側で動作する設計になっており、外部に制御の抜け穴を生まないという点でエンタープライズ需要に応えやすい。
データウェアハウスの枠を超え、オペレーショナルAIのユースケースへの展開を強化しているのが現在のSnowflakeの方向性だ。
製品リリースペースと通期ガイダンス
FY2027上半期に330以上の機能がGA(一般提供)に到達し、前年同期比+35%のペースを維持している。新たにリリースされたCortex SenseおよびCortex AI Gatewayは、ビジネスコンテキストと行動指向のAIワークフローへSnowflakeのAIポートフォリオを拡張するものだ。1PasswordやIndeedなどが新規顧客として加わり、SnowflakeがAnalytics刷新だけでなく、より広範なデータ・AI変革プログラムを争う場面が増えている。
通期ガイダンスについても大幅な上方修正が行われた。
- Q3 FY2027製品収益ガイダンス:15億8,800万〜15億9,300万ドル(市場予想の15億1,000万ドルを上回る)
- FY2027通期製品収益ガイダンス:60億7,000万ドル(従来の58億4,000万ドルから引き上げ)
- **FY2027調整後営業利益率:14.5%**(従来の13.5%から引き上げ)
製品収益と利益率の両方を同時に引き上げた点は、消費の拡大が営業レバレッジの改善にも繋がっていることを示唆している。今後の焦点は、CoCo・CoWork・Cortex AIの採用を、実験的な試みから本番ワークロードの継続的な消費へと転換できるかどうかだ。なお、SnowflakeのIR情報や製品詳細についてはSnowflake公式投資家向けページおよびSnowflake製品ドキュメントも参照されたい。
詳細はSnowflake Q2 FY 2027: CoCo and CoWork Expand AI Consumptionを参照していただきたい。