9月8日、RuntimeWireが「ChatGPT Work learns your writing style from Gmail, Slack and Drive」と題した記事を公開した。正確な情報を引用できても、送信者本人の文体と乖離していれば、そのドラフトは結局手直しが必要になる——ChatGPT Workが今回追加した文体パーソナライズ機能は、その「最後の一手間」を省くことを狙った機能だ。
GmailとSlackから「書き方の癖」を学ぶ
9月7日、OpenAIはChatGPT Workに文体パーソナライズ機能を追加した。 対応するのはGmail、Google Drive、Slack、SharePointの4サービス。これらに蓄積された実際のやり取りや文書を読み込み、ユーザーが好んで使うフレーズ、大文字の使い方、メールの締め方といった細かい書き癖を再現する。
この機能の設定はOpenAIのセットアップページ、またはSettings > Personalization > Writing styleから行う。有料プランのChatGPTユーザーであればWebから設定でき、生成された文体はWebとモバイルの両方に適用される。
ポイントは「ファクト検索の延長線上にある機能」ではない点だ。ChatGPT Workはすでに、Slackのスレッドを要約したり、Drive上のドキュメントから情報を取得したりできる。今回の機能は、その同じ接続を使って「何を伝えるか」だけでなく「どう伝えるか」も最適化するという方向性だ。
「AIが書いた感」を消すための設計
業務用の下書きツールが直面する問題がある。正確な数字を引用できても、送信者本人の文体と乖離していれば、そのドラフトはほぼ使い物にならない。毎回スタイルを指示するプロンプトを添える手間が発生する。
ChatGPT Workの文体学習は、その摩擦を省くことを狙っている。OpenAIがoperationsのプロダクトページで説明しているように、ChatGPT Workはプロジェクトの進捗を複数システムから集約し、リスクを特定し、定例レビューの準備をこなす。文体パーソナライズはその最終出力フェーズを担う機能だ。接続するデータが多いほど、追加指示なしで使えるドラフトに近づく設計になっている。
学習といっても「モデルの再訓練」ではない
「学習」という言葉が使われているが、技術的な内容は区別が必要だ。
OpenAIのGoogle app data controls FAQによると、接続されたGoogleアプリから取得したデータは、汎用モデルの訓練には使われない。例外は、フィードバックとして送信したコンテンツや、会話に手動でコピーしたテキストなどに限定される。
また、接続情報がパーソナライズに使われるのはMemoryが有効な場合に限るとも明記されている。元記事ではMemory無効時の動作について明示的な言及はないが、OpenAIのMemoryドキュメントによれば、Memory機能がオフの場合はセッションをまたいだ情報の保持自体が行われない。したがってMemory無効時は、文体学習の蓄積も機能しないと考えるのが自然だ。※編集部の考察
権限の扱いも明確だ。接続されたGmailやSlackからアクセスできるのは、そのユーザーが本来アクセス可能な範囲のみ。ワークスペース管理者は利用できるアプリや操作範囲を制限できる。OpenAIのChatGPTアプリ接続ドキュメントでは、利用可能な機能がプラン・地域・ワークスペース・ロール・モデル・インターフェースによって異なる場合があると説明されている。
ChatGPT Workの位置づけ
OpenAIの戦略は明快だ。社内情報の参照、意思決定の準備、そして対外的なコミュニケーション生成まで、ChatGPT Workを業務フローの統合インターフェースにしたい。文体パーソナライズはその出力品質を高める機能として位置づけられており、元記事もこの機能をChatGPT Workの設計上の重要な一手として紹介している。「AIが書いた」と気づかれにくくすることで、接続されたワークプレースアカウントを維持し続けるインセンティブを高める設計だ。
詳細はChatGPT Work learns your writing style from Gmail, Slack and Driveを参照していただきたい。