9月1日、デベロッパー・プライバシー研究者のJeff Johnsonが「Chrome again exempts Google from user site data settings」と題した記事を公開した。Chromeの「サイトデータ自動削除」設定がgoogle.comには適用されず、データが密かに残存し続けるという問題を詳細な検証とともに報告している。
この問題が特に厄介なのは、2020年に一度「修正済み」とされた問題の再発である点だ。当時の報告はThe RegisterやThe Vergeなどが取り上げ、Googleはバグとして対応した経緯がある。それから6年、同じ設定・同じドメインで同じ事象が再現している。
再現手順と証拠
JohnsonはChrome 152.0.7977.83を搭載した2台の異なるMacで問題を再現した。設定の前提は以下の通りだ。
chrome://settings/content/siteDataにて「すべてのウィンドウを閉じたときにデバイスに保存されたデータを削除する」を有効化- Chromeへのサインインは無効化
- デフォルト検索エンジンをGoogleからDuckDuckGoに変更(検索エンジン設定が原因でないことを確認するため)
この状態でGoogle検索を1回実行し、Chromeのウィンドウをすべて閉じる。再びchrome://settings/content/allを確認すると——**google.comのサイトデータ1,216KBが残存している。**
Chromeを完全に終了して再起動しても消えない。手動削除して同じ手順を繰り返すと毎回同じ結果になる。~/Library/Application Support/Google/Chrome/Defaultを調べたところ、残存するデータの内訳はCookie、Local Storage、Session Storageの3種類だ。なお現時点で除外が確認されているのはwww.google.comのみで、YouTubeなど他のGoogleドメインについては未確認としている。
「Googleアカウントとの連携が原因では」という反論は、Chromeにサインインしていない状態でも再現することから成立しない。「デフォルト検索エンジンがGoogleだから」という反論も、DuckDuckGoに切り替えても同様の結果が出ることで否定される。
「バグ」か「意図的な実装」か
Johnsonはこの問題に対して、いわゆるハンロンの剃刀——「悪意で説明できることでも、まず無能(ミス)を疑え」という判断原則——を適用する立場をとっている。ただしこう付け加えている。
Googleには無能の言い訳も通用しない。同社とそのエンジニアが稼ぐ金額を考えれば。QAを改善すれば、私から悪い評判を受けることを避けられる。この機能に対するユニットテストでも作ればどうか。ゆっくり動いて、壊すな。
また記事では付随する問題として、未サインイン状態でのGoogle検索結果のリンクがhttps://www.google.com/goto?url=形式の不透明なリダイレクトURLに変わっている点も批判されている。ユーザーがリンクの遷移先を事前に確認できなくなるこの変更は、プライバシーおよびトラッキングの観点から別途問題視されている。
ブラウザの「設定」は本当に機能しているか
Chromeは世界シェア65%超を占める主要ブラウザであり、その設定の挙動はそのまま膨大なユーザーのプライバシーに直結する。「サイトデータを自動削除する」設定を有効にしているユーザーの大半は、その設定が全サイトに対して実際に適用されているかどうかを逐一確認しない。設定UIが正常に見える以上、問題を発見すること自体が困難だ。
2020年に一度修正されたはずの挙動が、バージョンを重ねた2026年に同一のドメインで再発しているという事実は、回帰テストを含むQAプロセスに構造的な抜けがある可能性を示唆している。今回の報告を受け、ChromiumのIssue Trackerや関連フォーラムでの議論が注目される。Googleからの公式な説明はまだ出ていない。
詳細はChrome again exempts Google from user site data settingsを参照していただきたい。