9月4日、Owain Williamsが「After solving 91% of support chats, Hostinger's AI agent gets a promotion」と題した記事を公開した。Webホスティング大手Hostingerが自社AIエージェント「Kodee」を月150万件のサポート対応で鍛え上げ、91%という自律解決率を武器にSEO・マーケティング・コンテンツ生成など業務全般へ権限を拡大した経緯が詳述されている。単なる成功事例の紹介にとどまらず、「なぜ今、統合型AIエージェントが中小企業にとって切実な課題なのか」という文脈で読むと示唆に富む内容だ。
月150万チャットの91%を自律解決
Hostingerが開発・運用するAIエージェント「Kodee」は、月間150万件のサポートチャットのうち91%を人間の介入なしに解決している。残り9%は対応不可と判断した時点で人間のスペシャリストに引き継ぐ設計だ。
この実績を踏まえ、Hostingerは同エージェントを「Hostinger Agent」として新たにリリースした。役割はサポート対応にとどまらず、マーケティング、SEO、コンテンツ・ビジュアル生成、分析、定期タスクの自動化まで一つのインターフェースに統合されている。
「AIの断片化」という中小企業の現実的な課題
記事が軸に置くのは、中小企業が直面するAIの断片化(AI fragmentation)問題だ。現状、多くの中小企業はベンダーごとのチャットボット、SEOツール、ライティングコパイロット、分析エージェントをそれぞれ個別に導入している。各ツールは互いの存在を知らず、同じ文脈の説明を何度も繰り返す必要が生じる。
Gartnerはエージェント型AIの急速な普及を予測しており(※編集部の考察:記事内で言及されているGartner予測の原典リンクは元記事にも明示されていないため、詳細はGartner公式サイトで確認されたい)、2028年までにブランドの60%がマーケティング・営業・サポートの主要業務にエージェント型AIを導入するとされている。断片化の問題は今後さらに深刻になる可能性がある。
Hostingerのプロダクトイノベーション責任者であるEmilis Strimaitis氏はこう述べている。
「AIの世界はこの2年間、より多くのアシスタント、コパイロット、エージェントを選択肢として提供してきた。我々は顧客がそれらを選び続けなくて済むようにしたい。AIがすでに顧客の構築しているものと達成しようとしていることを把握しているなら、目の前の問題を解決するだけでは不十分だ。真の価値はオンラインでの成長を支援することにある。」
「アドバイス」から「実行」へ
Hostinger Agentの特徴として記事が強調するのは、アドバイスに終わらず実際にアクションを実行する点だ。管理パネル「hPanel」上での操作を含め、エージェントが直接ウェブサイトへの変更を実施する。ユーザー側の技術知識や作業時間の削減が狙いだ。
また、すべての業務を一つの場所に集約することで、エージェントはビジネス全体のコンテキストを蓄積し、より精度の高い提案ができるとしている。
さらに、HostingerのAI Builder(Webサイト・ストア・アプリをAIエージェントで作成する専用環境)内でもHostinger Agentを呼び出せるようになっており、サイト構築と相談を同時並行で進めることが可能だ。
エンジニア視点での見どころ
今回の発表で注目すべき点は、91%という自律解決率を実現した上で権限を拡大しているという順序だ。多くの企業がAIエージェントを「まずは広く展開」する中、Hostingerはサポートという単一ドメインで精度を証明してから横展開している。
※編集部の考察:この「一点突破→横展開」のアプローチは、AIエージェント導入の失敗リスクを局所化しつつ、組織的な信頼を段階的に積み上げる戦略として、他業種にも応用できる考え方といえる。
なお、自律解決率を達成するためのアーキテクチャや使用モデルの詳細は元記事には記載されていない。「複数の専門エージェントを組み合わせる」という方針は示されているが、技術的な実装の詳細は非公開の状態だ。
詳細はAfter solving 91% of support chats, Hostinger's AI agent gets a promotionを参照していただきたい。