9月4日、PYMNTSが「800 AI Agents Now Run GE Appliances' Factory Floor」と題した記事を公開した。この記事では、GEアプライアンスが製造・物流・サプライチェーン全体に800以上のAIエージェントを展開し、工場運営を再構築した取り組みについて詳しく紹介されている。
800個のAIエージェントが工場を動かす
GEアプライアンス(GE Appliances)は、Google Cloudの**Gemini Enterpriseを活用し、製造・物流・サプライチェーンにわたる800以上のAIエージェント**を本番稼働させた。Gemini EnterpriseはGoogle Cloudが法人向けに提供するGeminiシリーズのマネージドサービスで、大規模データ処理や業務統合を前提とした構成が特徴だ。同社のチーフデジタルオフィサーであるMandar Deoは「AIは今やGEアプライアンスの業務遂行に不可欠な要素となっている」と述べている。
これらのエージェントは、同社が「Brilliant Factory」と呼ぶ独自のデータプラットフォーム上で動作する。GEアプライアンスが自社の製造DX推進のために構築したこの基盤は、全ラインおよびシフトにわたって生産状況・部品・作業員の活動をリアルタイムで追跡するシステムだ。以前はデータサイエンティストを介さなければ引き出せなかった数値を、現場の担当者が直接システムに問い合わせて取得できるようになった。1シフト分のデータレビューが、数時間から数分に短縮されている。
最も具体的な成果:サプライヤー管理とバックオーダー削減
エージェント導入による効果が数字で最も明確に出ているのが、サプライヤー管理の領域だ。
2025年、GEアプライアンスは600社以上のサプライヤーとのコミュニケーションを管理するAIエージェントを構築した。定型的な発注状況の問い合わせを自動化した結果、バックオーダーを25%削減した。なお、元記事にはこの削減率の比較基準期間や比較対象の明示がなく、削減幅の絶対的な規模については慎重に読む必要がある。担当スタッフはより付加価値の高い業務に集中できるようになったという。
同社の部品チームは年間約2700万点の部品を700社以上のサプライヤーに出荷し、旧モデルを少なくとも7年間サポートし続けている。この規模で25%のバックオーダー削減が持つ意味は小さくない。
また、顧客フィードバックや写真をスキャンして製品の欠陥を早期に検出する別のツールも稼働している。物流担当バイスプレジデントのMarcia Breyは「このスケールで欠陥をより早く発見し、製品品質を改善できる」と述べている。
ジョージア州工場:自動化と雇用を同時に拡大
AIエージェントの展開と並行して、GEアプライアンスは製造拠点への物理的な投資も進めている。
ジョージア州ラファイエットにあるRoper Corporation工場では、当初計画より6000万ドル多い1億8000万ドルの拡張を完了した。600人以上の雇用を創出し、ロボットの活用規模は3倍以上に拡大した。
この工場の新ラインで特徴的なのは、ガス・電気・IH(電磁調理器)のレンジを同一ラインで製造できる点だ。需要の変化に応じてラインを切り替える柔軟性を持つ。ただし、この柔軟性が真に機能するためには「今どの製品への需要がシフトしているか」をリアルタイムで把握する必要がある。AIエージェントはまさにその問いに答えるために設計されている。
同社は2016年以降、米国製造業に35億ドル以上を投資しており、同カテゴリーの競合他社を上回る規模だと主張している。
欠陥検知から生産計画まで:意思決定そのものを担う
今回の取り組みで注目すべき点は、AIエージェントの役割が品質チェックにとどまらないことだ。品質上の問題を検出する同じシステムが、生産量・シフト人員配置・在庫水準に関する意思決定にも情報を提供している。
これまでそうした判断は、工場長の経験則と積み上げられたレポートに依存していた。それをAIエージェントが担うことで、バックオーダーの削減、欠陥検出の高速化、ライン切り替えのダウンタイム短縮といった改善が積み重なる。35億ドルを超える工場投資規模では、個々の小さな改善が大きな金額に換算される。
詳細は800 AI Agents Now Run GE Appliances' Factory Floorを参照していただきたい。