9月5日、Search Engine LandのAnu Adegbolaが「OpenAI expands ChatGPT ads globally and builds out its ad stack」と題した記事を公開した。OpenAIがChatGPTの広告機能を欧州・インド・中東・北アフリカへとグローバルに拡張しながら、ターゲティング・計測・最適化といった広告インフラを本格的に整備している実態が詳しく報じられている。
収益モデルの転換点:OpenAIが広告インフラを本格整備
今回の発表で重要なのは、新しい広告フォーマットの話ではない。「広告主が本格的な予算を投下する前に必要となる基盤インフラ」——ターゲティング、計測、最適化、レポーティング、ワークフロー——を着実に積み上げている点だ。GoogleやMetaが長年かけて構築してきた広告エコシステムを、OpenAIが猛追している構図である。
グローバル展開と広告インフラ整備が同時に進んでいる点も見逃せない。欧州・インド・中東・北アフリカという多様な規制環境・市場環境への拡大は、単なる地理的な広がりにとどまらず、各地域の広告主から本格的な予算を獲得するための足場固めと読み取れる。インフラが整っていなければグローバル展開も絵に描いた餅になるため、両者は不可分な戦略として動いている。
主なアップデート内容
カスタムオーディエンスの柔軟性向上
広告主はカスタムオーディエンス(ターゲットとするユーザーリスト)を一から作り直すことなく、メンバーの追加・削除・置換が可能になった。また、1リクエスト内で複数の識別子タイプを混在させられるほか、500万人超の大規模オーディエンスにも対応する。
識別子としてはGoogle Advertising ID(GAID)が新たにサポートされた。GAIDはAndroidデバイスに付与される広告識別子で、Google広告との連携文脈でも馴染みのある概念だ。除外オーディエンスの制限緩和や、オーディエンスサイズのより精細な推計も追加されている。
コンバージョン計測の強化
Measurement PixelとConversions API(広告効果計測のためのサーバーサイドAPI)が、コンバージョンのマッチングに使用できるデータを拡張した。Pixelはハッシュ化された電話番号・氏名・地域・郵便番号を新たにサポート。Conversions APIでも追加識別子とAndroid GAIDが利用可能になった。
マッチング精度の向上は、広告主がChatGPTを「試験的なメディア買付け」ではなくパフォーマンスチャネルとして扱えるかどうかの分岐点となる。実際にコンバージョンが広告に紐付けられなければ、予算の本格投下には踏み切れない。
カルーセル広告のレポーティング強化
プロダクトフィード(商品データベース)を使う広告主向けに、カルーセル広告(横スクロール型の複数商品表示)の各カードごとのインプレッション・クリックがAds Managerで確認できるようになった。Insights APIからは商品レベルのデータも取得可能だ。なお、カードのインプレッションは課金対象となる広告インプレッションとは別カウントとされている。
次の一手:コンバージョン最適化モデルとAIによるキャンペーン管理
OpenAIは今後、クリックスルーとビュースルーの両方を考慮するコンバージョン最適化モデルを導入する予定だ。このモデルではインプレッション課金としつつ、広告主が設定したコンバージョン目標に向けて配信を自動最適化する。MetaやGoogle広告の自動入札に近い仕組みであり、ChatGPT広告がパフォーマンス広告の主流モデルへと近づく動きといえる。
また、ChatGPT Ads Managerプラグインを使えば、ChatGPTやCodexに自然言語で指示を出すことでキャンペーンの作成・管理・分析が行える。Webサイトやブリーフから広告を生成したり、バリエーションを作成したり、キャンペーンの問題解決や改善提案を受けたりできる。推奨される変更は広告主が確認・承認してから適用される仕組みだ。
なぜ今か——「計測・最適化・スケール」の三要件を埋める戦略
広告主がプラットフォームに予算を配分する際に求めるのは「計測できる」「最適化できる」「スケールできる」の三要件だ。これまでのChatGPT広告にはその基盤が不足していた。今回のアップデートはその穴を埋めるものであり、グローバル展開と広告インフラ整備を同時に進めることで、OpenAIが広告収益を本格的な収益の柱に据えようとしている姿勢が読み取れる。
元記事では月間アクティブユーザーの規模についても言及されているが、具体的な数値の明示はない。広告媒体としての規模感が現実を帯びてきたという文脈は記事全体から読み取れるものの、数値の裏付けについては元記事および公式発表を直接確認されたい。
詳細はOpenAI expands ChatGPT ads globally and builds out its ad stackを参照していただきたい。