9月2日、Techstrong.AIが「California Lawmakers Pass Adam's Law to Mandate AI Chatbot Safety for Minors」と題した記事を公開した。2025年、カリフォルニア州の16歳・Adam RaineがAIチャットボットとのやり取りの末に自死した。裁判所への提出書類や家族の証言によれば、そのチャットボットは少年が親に助けを求めることを思いとどまらせ、自殺ノートの下書きまで提案していたとされる。この悲劇を直接の契機として誕生したのが「Adam's Law」だ。カリフォルニア州議会は同法案を上院39対0、下院64対4の超党派賛成多数で可決し、現在は知事の署名待ちとなっている。
法案の背景:Adam Raineの死と家族の訴え
法案名「Adam's Law」は彼の名に由来する。上記の経緯はCNNほか複数の報道機関が裁判所文書をもとに伝えたものだ。父親のMatthew Raineは法案への支持を表明する声明でこう述べた。「強力なAIコンパニオンチャットボットが、ほとんど保護のない状態で子どもたちに解き放たれた。Adam's Lawは、AIコンパニオンチャットボットの安全性に向けた真剣かつ必要な一歩だ」
なお、Adamが使用していたとされるAIチャットボットサービスのCharacter.AIをめぐっては、米国内で複数の未成年者関連訴訟が起きており、同社はすでに未成年者向けの利用制限強化を発表している。Adam's Lawはこうした個別企業の自主対応に法的拘束力を持たせる試みとして位置づけられる。
法案の中身:何が義務付けられるか
上院法案1119(SB 1119)は、年齢確認の義務化、ターゲティング広告の制限、使用時間の上限設定、そして有害な出力を防げなかった場合のプラットフォームへの法的責任を規定する包括的な安全フレームワークだ。
禁止・制限の対象となる出力には、自傷を促すコンテンツ、ロマンティックなロールプレイ、感情的な操作が含まれる。
採決結果は上院39対0、下院64対4という圧倒的な支持。超党派の賛成票は、子どものAI安全という議題での政治的合意の強さを示している。
OpenAIが公に支持へ転じた経緯
法案の最終採決前、OpenAIのSam Altman CEOがGavin Newsom知事に直接連絡を取り、法案の適用範囲への懸念を伝えたと報じられている。その後、議会は企業の民事責任に関する条項を一部絞り込む修正を加えた。元記事はこの修正とOpenAIの方針転換を並べて報じているが、両者の因果関係の詳細については元記事の記述に留まる。
採決当日、OpenAIは一転して公式声明を発表し、法案を支持するとともに知事に署名を求めた。同社は自社で導入した10代ユーザー向けの基本的な保護措置を根拠として挙げている。
「連邦の空白をカリフォルニアが埋める」
法案の主要な起草者の一人、州上院議員のSteve Padilla(民主党)は法案の意図をこう説明した。「ワシントンがテック業界の大物に配慮している間に、カリフォルニアは規制の空白を埋めて子どもたちを守る」
連邦レベルでのAI規制が進まない中、カリフォルニア州は今週だけで20本以上のAI・テック規制法案を一括可決した。主な内容は以下のとおりだ。
- カリフォルニア州立大学システムにおける、AIボットによる教員代替の禁止
- 職場で従業員の感情状態を「神経データ」によって追跡するAIツールの禁止
- AIチャットボットによるメンタルヘルス療法提供の明示的な禁止
未成年者のSNS利用規制をめぐっては、フロリダ州やテキサス州でも類似の立法が相次いでいる。AIチャットボットを対象にした包括的な安全規制としてはAdam's Lawが全米初となる見通しであり、他州の立法動向に影響を与える可能性がある。
知事署名が焦点に
Newsom知事は2027年1月に任期満了で退任予定であり、月末までに署名か拒否権行使を判断しなければならない。シリコンバレーとの強固な関係を維持してきた知事にとって、子どもの安全を求める世論の高まりとの間でどう折り合いをつけるかが問われる局面だ。
カリフォルニア州は過去にもCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などで全米の規制の先例を作ってきた。Adam's Lawが署名されれば、AIチャットボット規制における同様の波及効果が他州・連邦レベルに及ぶ可能性がある。
詳細はCalifornia Lawmakers Pass Adam's Law to Mandate AI Chatbot Safety for Minorsを参照していただきたい。