9月1日、Techstrong.aiが「China Lays Down Preconditions for U.S. AI Safety Talks, Targets Anthropic」と題した記事を公開した。この記事では、中国が米国とのAI安全協議に先立ちAnthropicを名指しで批判し、対話の前提条件を突きつけた外交的動向について詳しく紹介されている。
中国、AI安全協議に"前提条件"を提示
中国が米国との人工知能(AI)安全対話に向け、明確な前提条件を提示した。国営放送CCTVの関連アカウント「玉渊谭天(Yuyuantantian)」が日曜日に投稿した声明によれば、北京は「実質的な」交渉が始まる前に、ワシントンが国内のAI開発企業に対して厳格な安全基準・情報開示・監査要件を課すよう求めた。
この動きの背景には、9月24日に予定されている習近平国家主席とトランプ大統領の首脳会談がある。両国はAI安全分野での協議に原則合意しているものの、中国側は議題や代表団の構成に関する明確化を求め続けている。米中間のAI安全をめぐる対話は、2024年以降断続的に続いており、2024年11月のサンフランシスコ会談などを経て現在の局面に至っている。
声明ではさらに、「国際的なルール設定をワシントンが一方的に主導してはならない」と強調。「真のセキュリティ上の脅威と、単なる技術競争を明確に区別すべきだ」と訴えた。
Anthropicへの直接的な批判
今回の声明で最も注目されるのが、Anthropicへの名指し批判だ。中国国営メディアはAnthropicの開発慣行を「歪んだもの」と断定し、以下の疑惑を列挙した。
- ユーザーデータの不正取り扱い
- 無断でのデータ送信
- 秘密裏の監視行為
中国側はこれらを、米国の技術的覇権をグローバルスタンダードとして押し付けるための戦略の一環と位置づけている。
また、Anthropicが開発中のMythosモデル(Anthropicが開発を進めているとされる次世代AIモデル)が中国を標的とした攻撃的ツールとして利用される可能性を懸念しているとも述べた。一方で、なぜ同モデルが中国での通常の商用利用では制限されているのかについても疑問を呈している。
なお、Anthropicは現在、主力モデルであるClaudeシリーズを提供するAIスタートアップであり、安全性重視のAI開発を標榜している。今回名指しされた疑惑についてAnthropicは公式なコメントを出していない。
アクセス制限をめぐる実態
AnthropicはすでにOpenAIやGoogle(Alphabet)と同様に、国家安全保障上の理由から2025年に中国の関連事業者へのサービス提供を遮断している。米国政府による輸出規制の強化を受けた措置で、こうした制限は先端AIモデルへのアクセスを地政学的文脈で管理しようとする動きの一環とみられている。
しかしこの制限をすり抜ける動きも表面化している。Anthropicは最近、中国の大手テック企業アリババ(Alibaba Group Holding)が数千の不正アカウントを通じてClaudeモデルへのアクセスを不正に取得したと非難した。アリババはこの疑惑に対して公式な回答をしていない。
「米国企業が定義する秩序」への警戒
中国国営メディアの声明は、米国主導の規制が「中国に、米国企業によって部分的に定義された秩序を受け入れさせる試みだ」と結論づけている。声明中でこのフレーズは、米国側の規制枠組みに対する中国の根本的な異議を示す文脈で用いられており、特定企業や個人を直接指したものではない。
AI分野の地政学的緊張は、両国が先端フロンティアモデルの攻撃・防衛両面での能力を見極める中でさらに高まっている。今回の前提条件の提示は、9月の首脳会談に向けた駆け引きの一環とみられるが、AnthropicおよびU.S. State Department(米国務省)はいずれも本件についてコメントを出していない。AI安全をめぐる国際的な議論の枠組みについては、OECD AI政策オブザーバトリーや国連のAIガバナンスに関する取り組みも参照されたい。
詳細はChina Lays Down Preconditions for U.S. AI Safety Talks, Targets Anthropicを参照していただきたい。