8月31日、Matthias Bastianが「OpenAI and rival AI labs are buying tens of thousands of Mac minis to train computer-use agents」と題した記事を公開した。OpenAIをはじめとするAIラボが、NVIDIAのGPUクラスターとは別に、数万台規模のMac miniをコンピューター使用エージェントの訓練用途で大量購入しているという実態を伝えている。
AIインフラの意外な実態:GPUサーバーに加えてMac miniも
AIの学習インフラといえば、NVIDIAのGPUクラスターを思い浮かべるのが自然だろう。しかし、The Informationの報道によれば、OpenAIおよび複数のAIラボがGPUサーバーとは別に、数万台規模のMac miniとMac Studioを購入しているという。これはGPUを置き換えるものではなく、特定のワークロードに特化した追加調達である点に注意が必要だ。
OpenAIがこれらを使用する目的は、コンピューター使用エージェント(computer-use agent)の訓練だ。コンピューター使用エージェントとは、ブラウザ操作やファイル管理といった複数のステップにまたがるタスクを自律的にこなすAIのことを指す。GUIを介してPCを操作するタイプのエージェントであり、単純なAPIコール型のAIとは性質が異なる。
なぜMac miniなのか
Mac miniが大量採用される背景には、Appleシリコンの構造的な強みに加えて、このタスク特有の事情がある。
コンピューター使用エージェントの訓練では、GUIの操作画面(スクリーンショット)を大量に生成・収集し、それをモデルの学習データとして活用するプロセスが必要になる。ブラウザやFinderといったmacOSネイティブのGUIアプリケーションを実際に動かしてデータを収集するには、macOS環境そのものが必要であり、LinuxベースのGPUサーバーでは代替できない。これがMac miniが選ばれる本質的な理由だ。
ハードウェア面での強みも後押しする。
- ユニファイドメモリアーキテクチャ:CPUとGPUがメモリを共有するApple独自の設計により、大規模モデルの推論時のメモリ帯域が広く、macOS上でのモデル実行に適している
- 長時間稼働に向いた冷却設計:AIワークロードのような継続的な高負荷処理に対して熱的に安定している
- 強力なチップ性能:M4世代のMac miniはコンパクトながら高い演算能力を持つ
なお、最も高性能なモデルはメモリチップの供給不足により数ヶ月にわたって品切れ状態が続いており、OpenAIはさらなる調達を望んでいるものの入手できていない状況だという。
AnthropicはAWS経由でレンタル
競合のAnthropicも同様の動きをとっており、AWSを通じてMac miniをレンタルする形で活用している。AWSはAmazon EC2 MacインスタンスとしてAppleシリコン搭載Macをクラウド提供しており、これを利用している形だ。
大手ラボだけでなく、開発者コミュニティも動いている
Mac miniをAI用途で活用する動きはラボ内にとどまらない。
オープンソースソフトウェアの**Exoは、複数台のMacをクラスター化して大規模モデルをローカルで動かすことを可能にする。また、OpenAIの元コンピューティングインフラチームメンバーであるPeter Voellは、AppleシリコンベースのクラウドサービスMount Thor**を立ち上げている。
比較対象として記事が言及するのが、NVIDIAのDGX Sparkだ。同じくコンパクトなAI向けコンピュートを謳うが、CUDAおよびTensorコアによる専用GPU処理に軸足を置いており、Appleのユニファイドメモリとは設計思想が異なる。
Appleへの影響
こうした需要を背景に、AppleのMac部門の売上は直近の6月四半期に前年比約29%増の104億ドルに達した。AIラボによる大量購入がこの数字を押し上げた一因であることは想像に難くない。
詳細はOpenAI and rival AI labs are buying tens of thousands of Mac minis to train computer-use agentsを参照していただきたい。