8月29日、El Paísが「Charts that explain the rise of artificial intelligence」と題した記事を公開した。モデル性能・株価・利用者数・コストなど複数の指標を用いて、AIの台頭をデータで俯瞰する内容だ。
Nvidiaの株価が15倍——半導体サプライチェーンが総じて急騰
AIブームを最も端的に示すのが株式市場の動きだ。ChatGPTが公開された2022年末以降、MicrosoftとAmazonの時価総額はそれぞれ2倍・3倍、Alphabetは約4倍に膨らんだ。
しかし最大の受益者はNvidiaだ。ゲーム向けGPUメーカーから、AIモデルの学習・推論を支えるハードウェア・ソフトウェアのほぼ独占的な供給者へと変貌し、時価総額は同期間に15倍に達した。記事は「2010年1月に1,000ドルを投資していれば、現在の価値は60万ドルを超える」と試算しており、同社の従業員数千人が億万長者になったとも述べている。
サプライチェーン全体も恩恵を受けている。カスタムチップを設計するBroadcomは2021年末比で6倍、AIチップに使われるメモリを製造するSK HynixとMicronは10倍。そして、先端半導体の製造に不可欠な露光装置を手がけるオランダのASMLも2倍に達した。
一方で、こうした株高はバブルへの懸念も呼んでいる。Amazon・Microsoft・Alphabet・MetaのAI関連設備投資(capex)の合計は2023年以降で4倍に達しており、dot-comバブルとの比較を想起させる議論が続いている。
モデル性能:博士号水準を超えつつある
性能面では、GPT-4が2023年に**GPQA(博士号レベルの科学知識を問うベンチマーク)で記録したスコアは36%だった。当時、同分野のPhD保持者の正答率は約65%で、モデルは人間に大きく劣っていた。それが現在、最高性能のモデルは95%近く**に達し、ベンチマーク自体が測定の限界を迎えつつある。
コーディングや数学のベンチマークでも同様のパターンが繰り返された。そのため「人間には簡単だが機械には難しい」問題を設計するARC-AGI(Abstraction and Reasoning Corpus for Artificial General Intelligence)など、新しい評価指標が次々と開発されているが、AIはそれらも順次クリアし続けている。
普及速度:スマートフォンより速い
普及の速さも際立っている。米国人の半数がPCを手にするまでに10年以上かかり、インターネットは6年、スマートフォンは5年を要した。ChatGPTやGeminiのようなチャットボットは2年強でそれを達成した。
スペインでは通信情報社会観測所(ONTSI)の調査によると、インターネット利用者の55%が生成AIツールをすでに使用している。企業での採用も進んでおり、数万社の決済を処理するRampのデータでは、米国企業の半数超がAIサービスに対価を支払っている。プロ向けでの利用ではAnthropicのClaudeが43%でOpenAIのChatGPT(40%)を逆転した。
コストは年間で10〜1000分の1に
性能向上と並行して、コストは急落している。初代ChatGPTのAPIは100万トークンあたり約20ドルだったが、2年後にはMetaのオープンウェイトモデルLlamaで同等の性能をわずか10セントで実現できるようになった。特定モデル間では200分の1の価格だ。
さらにマクロな視点では、Epoch AI(AIの動向を定量的に追う独立系研究機関)の試算によると、一定の性能水準を達成するコストは毎年10〜1000分の1のペースで低下しているという。タイトルで「200分の1」と示したのはAPIコストの具体例であり、技術全体のトレンドとしてはこの幅広いレンジが実態に近い。
米中の差は「数カ月」、欧州はさらに後方
最先端モデルは依然として米国勢が先行しているが、差は縮まっている。Epoch AIの能力指数では、首位の米国モデル(記事中では「Claude Fable 5」と表記されているが、元記事記載のモデル名であり、TechFeed編集部では内容の確認にとどめる)が162点に対し、中国トップのMoonshot AIは157点に到達しており、「中国の最良モデルは、米国が数カ月前に達成していたレベルで動いている」と記事は表現している。欧州はフランスのMistralが143点でさらに後方につける。
なお、この「数カ月差」という状況の背景には、米国による対中半導体輸出規制(いわゆるエクスポートコントロール)の強化がある。高性能GPU(H100など)の入手が制限される中でも中国勢がここまで追い上げてきた事実は、規制の実効性をめぐる議論を改めて呼んでいる。
データセンターの電力消費:2030年には日本の年間消費量を超える
AIの物理的コストも無視できない。国際エネルギー機関(IEA)の予測では、データセンターの電力消費は2030年までに415TWhから945TWhへと倍増以上が見込まれ、世界の電力需要の約3%を占める見通しだ。これは日本の年間電力消費量を上回る水準に相当する。
人々の反応:アジアは期待、西洋は不安
Ipsosが約30カ国で実施した調査では、AIへの態度に地域差が浮かんだ。中国では**83%、インドでは79%が「AIに期待している」と回答した一方、カナダでは26%、米国では33%**にとどまった。スペインは期待(47%)と不安(52%)が拮抗している。
詳細はCharts that explain the rise of artificial intelligenceを参照していただきたい。