8月29日、Rahim Amirが「Diamonds, Crescents and Wildcats: Intel shows off its hardware for the next generation of agentic AI workloads」と題した記事を公開した。この記事では、IntelがHot Chips 2026でエージェント型AIワークロード向けの次世代ハードウェア3アーキテクチャを発表したことについて詳しく紹介されている。
Intelは半導体業界の年次カンファレンス「Hot Chips 2026」で、エージェント型AI(自律的にタスクを計画・実行するAI)向けとして3つのハードウェアアーキテクチャを披露した。ラックからラップトップまでをカバーする構成で、データセンター向けCPUのDiamond Rapids(Xeon 7)、推論特化GPUのCrescent Island、そしてすでに出荷済みのクライアント向けSoCであるWildcat Lakeの3本立てだ。IntelのCTO Pushkar Ranadeは「エージェント型AIがトランジスタレベルからコンピューティング設計を変えている」と述べている。
最大256コアのDiamond Rapids——AMDとの比較で見えるもの
Diamond Rapidsは最大256コア、1.28GBの最終段キャッシュ(LLC)、16メモリチャネル、128レーンのPCIe 6.0、CXL 3.0を備えるエンタープライズ向けCPUだ。ServeTheHomeの報告によれば最大構成では16コアチップレットをIntelの18A-Pプロセスノードで製造するとされており、出荷は2027年を予定している。
AMDも同じく256コアのEPYC 9996(TSMC 2nmノード)を提供している。こちらはハイパースレッディング(SMT)を維持しており、論理スレッド数ではIntelの256スレッドに対してAMDは実質的に2倍を確保できる。コア数は互角でもスレッド数で差が出る点は、並列処理の多いAIワークロードにおいて設計上の判断の分かれどころになる。
最も不透明なCresident Island——メモリ帯域を非公開にする理由
3アーキテクチャのなかで最も興味深いのはCrested Islandだが、同時に最も情報が少ない。350W空冷、PCIeカード形状、Xe3P GPUアーキテクチャベースで、32コアが256基の第3世代XMXエンジン(行列演算専用ユニット)と32MBのL2統合キャッシュを束ねる構成だ。
メモリにはHBM(高帯域幅メモリ)ではなくLPDDR5Xを採用している。コストと消費電力を抑えることでNvidiaやAMDと競合できる価格帯に収める狙いとみられる。
ここで気になるのがメモリ容量の扱いだ。Intelのプレスリリースは480GBを強調しているが、Intel自社ブランドのカードは160GB上限となっており、480GBはODMパートナーが独自構成を組む場合の上限に過ぎない。さらにIntelはメモリ帯域幅の数値を非公開としており、Chips and Cheeseの問い合わせにも開示しないと回答している。
メモリ帯域幅はLLM推論においてトークン生成のスループット、すなわちトークンあたりのコスト(トークンエコノミクス)を直接左右するパラメータだ。この数値を伏せたまま推論GPUを売り込む姿勢は、導入を検討するエンジニアにとって判断材料が欠けた状態を意味する。
唯一の既存品・Wildcat Lake——Copilot+の壁
Wildcat Lake(Core Series 3)は現時点で実際に購入できる唯一の製品で、ミニPCやノートPCとして流通している。パッケージングはPanther LakeのFoverosからオーガニックマルチチップパッケージに変更され、ベースダイが不要になったことでコスト削減と歩留まり改善を実現した。コンピュートダイ面積は38%削減、I/Oタイル面積は15%削減されている。
搭載NPUの性能は17 TOPSで、MicrosoftがCopilot+デバイス認定に要求する40 TOPSを下回る。Intelは「CPU・GPU・NPUのプラットフォーム合計で40 TOPSを満たせる」と説明しているが、Copilot+認定の要件はNPU単体での達成を前提としており、クライアント向けのAI訴求において課題が残る。
3製品を並べると、Intelの現在地が見えてくる。データセンター向けではAMDと競い、推論GPU市場ではNvidiaに正面から挑もうとしている——ただし肝心の帯域幅数値は非公開のまま、という状況だ。クライアント向けのWildcat LakeもCopilot+認定という壁が残る。今後の詳細開示と実測値がそろったとき、各アーキテクチャの競争力がより明確になるだろう。
詳細はDiamonds, Crescents and Wildcats: Intel shows off its hardware for the next generation of agentic AI workloadsを参照していただきたい。