8月30日、The Decoderが「AI sentiment is turning sour as employee reviews reveal growing frustration across the workforce」と題した記事を公開した。Glassdoorの従業員レビュー分析から明らかになったのは、AIへの言及が職場で急増する一方、その受け止め方が急速に悪化しているという実態だ。なかでも際立つのが、Z世代女性の肯定率がわずか**21%**という数字である。
AI肯定評価が81%→43%に激減
最も衝撃的なデータから入る。Glassdoorで「AI」に言及したレビューのうち、肯定的なコメントの割合は2019年の81%から2026年5月時点で43%まで下落した。一方、否定的なコメントは53%に達している。
この期間、AIへの言及そのものは急増しており、2025年5月から2026年5月の1年間でAI言及レビューは240%増となった。AIが職場の話題として完全に定着した一方で、その受け止め方が急速に悪化している構図だ。

2019年から2026年半ばにかけて、肯定的AIコメントの割合が81%から43%へ低下。| 画像:Glassdoor
職種別の温度差:経営層と現場の乖離
肯定的な評価を最も多くしているのは経営幹部だ。

2025年6月〜2026年5月のGlassdoorレビューでは、リーダーシップ職がAIへの肯定率で最上位。| 画像:Glassdoor
AIへの言及頻度が最も高い職種はソフトウェアアーキテクトで、コメントの大半が肯定的だ。しかし、コードの実装やレビューを主業務とするソフトウェアエンジニアは57%のコメントが否定的に傾く。
最も批判的なのは保険クレーム担当者で、否定率は最大98%に上る(元記事にサンプルサイズの記載はなく、数値の解釈には留意が必要だ)。「バグだらけのツールを管理職から押しつけられる」という不満が典型的だ。ライター、経理担当者、カスタマーサービス担当者も4対1の割合で批判的なコメントが多い。

保険クレーム担当者とジャーナリストは、それぞれ最大98%・81%の否定率。| 画像:Glassdoor
不満の中身:「道具の押しつけ」と「監視」
肯定的なレビューは2パターンに集約される。44%がAIブームの恩恵を受ける企業への評価(いわば「AI勝ち組」企業の社員)、41%がツール・トレーニング・サポートが充実している企業への評価だ。
一方、批判は多様だ。最多は雇用喪失への不安(20%)だが、それ以外の不満も目立つ。
- **14%**:AIの使用を強制される
- **13%**:AIが本業の妨げ、または顧客体験を劣化させる
- **10%**:職場監視や管理職からの自動メッセージなど、AIによる「疎外感」
- **8%**:経営陣の生産性期待が非現実的
なお、否定的レビューのうち約10%はAI導入の遅さや不十分なツールへの不満であり、これらの回答者はAI自体には賛成している。
最もAIに懐疑的なのは若い女性
性別・世代別の分析も興味深い。男性はAIを45%の頻度で肯定的に評価するが、女性は32%にとどまる。世代別ではX世代が最も肯定的(47%)、ミレニアル世代40%、Z世代33%と続く。
そして最もAIへの評価が低いのが**Z世代女性で、肯定率はわずか21%**。同世代男性の42%と比べて大きな開きがある。

若い世代ほど顕著な性別格差。| 画像:Glassdoor
X世代の性別格差は業種・職種の違いで説明できるが、Z世代の場合はその説明が成立しないとGlassdoorは指摘している。
企業規模との相関も出ており、**従業員200人未満の中小企業では否定的コメントが51%なのに対し、1万人超の大企業では67%**と、規模が大きいほど否定的な傾向がある。
他の調査とも整合する
Glassdoorのレビューは不満を持つ社員が書きやすいという偏りがある。ただし、その偏りが一定なら、時系列の変化は実態を反映していると考えられる。
この傾向は複数の独立した調査と一致している。各調査の主な知見を整理すると以下の通りだ。
- **4月実施の米国成人調査(Quinnipiac)**:AIの利用頻度は増加する一方、信頼度は低下。Z世代のAI批判が特に顕著
- **Anthropicの調査**:米国労働者の過半数がスキル低下と雇用喪失の両方を懸念していることが示されている
- **Stanford AI Index 2026**:米国の専門家の73%が「AIは雇用市場にプラス」と回答する一方、一般市民で同意するのは23%にとどまる
専門家・経営層と現場労働者の認識ギャップは、どの調査でも一貫して確認されており、GlassdoorのデータはAIを「与える側」と「与えられる側」の非対称性を浮き彫りにしている。
詳細はAI sentiment is turning sour as employee reviews reveal growing frustration across the workforceを参照していただきたい。