8月28日、Futurismが「Mark Zuckerberg Had a Secret Plan to Replace Meta Staff With AI Agents, and It Backfired Spectacularly」と題した記事を公開した。Reutersの調査報道をもとに、MetaのCEOマーク・ザッカーバーグが極秘裏に進めていた「社員をAIエージェントに置き換える計画」が大幅に狂った経緯をまとめたものだ。
「AIで人間を代替する」という経営判断が技術の現実をはるかに先走った——その構図は、AI活用を急ぐ企業全般にとって他人事では済まない問いを突きつけている。
背景:「効率化の年」から始まった人員削減路線
Metaは2023年に「Year of Efficiency(効率化の年)」を宣言し、数万人規模の人員削減を断行した。その後も生成AIへの巨額投資を続けており、2026年の設備投資(CAPEX)予測は最大1,450億ドルに引き上げられている。こうした投資を正当化するため、ザッカーバーグは人件費のさらなる圧縮を模索していたとされる。その延長線上に生まれたのが、今回明らかになった極秘計画だ。
「Project OT」——最大60%削減を目論んだ計画の全容
Reutersの調査報道によると、Metaの幹部たちはザッカーバーグ主導のもと、「Project Organization Transformation(Project OT)」というコードネームの計画を立案した。AIエージェントに数千人分の業務を肩代わりさせ、チームの規模を最大60%削減するというものだ。
60%という数字は当初から野心的すぎた。計画はすぐに行き詰まり、5月に実施された大規模レイオフ(世界の従業員約7万人のうち約10%・約8,000人が対象)に続く「第2波」の解雇も最終的に中止された。Metaは「60%削減を想定したシナリオは存在した」と認めつつも、「すべてのシナリオを実行したわけではなく、そうすることが前提だったわけでもない」とコメントしている。
次々と噴出した問題
5月のレイオフは一連のトラブルを連鎖的に引き起こした。
AIによる解雇対象の選定疑惑:26人の従業員が集団訴訟を起こし、Metaの社内AIプラットフォームが解雇対象を選別する際に障害を持つ従業員を不均衡に選んだと主張した。あくまで訴訟における主張の段階だが、AIによる人事判断が差別的結果をもたらしうるという問題が、大手テック企業で現実の法的紛争に発展したケースとして注目を集めている。
社内の士気低下:怒りを抱えた社員が社内掲示板に批判的な投稿を連発。ザッカーバーグが「おやつの充実とハッカソン開催」を約束するという異例の対応に追われた。
監視ソフトウェア問題:Metaは従業員のPCにソフトウェアをインストールし、タイプした文字やクリック操作をすべてAI学習に活用しようとしたことで批判を浴びた。
AIエージェント自体の開発も遅れ
そもそも計画の前提だったAIエージェント技術の開発が、想定通りに進んでいなかった。ザッカーバーグ自身が2026年7月、「AIエージェントの開発が想定より大幅に遅れている」と公式に認めている。
さらにReutersの報道では、AIが生成したコードが技術的・セキュリティ上のインシデントを急増させ、エンジニアたちがその対応に追われていた実態も明らかになった。人員を削減するためのAIが、新たな障害を量産するという皮肉な構図だ。
今後の見通し
ザッカーバーグは全社的な追加レイオフはないと約束しているが、パフォーマンス評価に基づく人員調整は引き続き警戒されている。「AIによる大規模な人間の代替」という構想が、技術的な現実・法的リスク・組織的な反発という三重の壁に阻まれた今回の経緯は、AI活用を急ぐ企業が直面しうるリスクを具体的に示したケーススタディとなった。
詳細はMark Zuckerberg Had a Secret Plan to Replace Meta Staff With AI Agents, and It Backfired Spectacularlyを参照していただきたい。