8月27日、MacStoriesが「Anthropic Introduces an In-App Browser for Claude Cowork」と題した記事を公開した。AnthropicがデスクトップアプリのClaude Coworkにインブラウザ機能を追加したという内容で、OpenAIのChatGPT Workに続く動きとして注目される。AIエージェントがブラウザを直接操作する時代において、認証情報(パスワードを含むログイン情報)をどう守るかという設計の差異も明らかになった。
Claude Coworkとは
本題に入る前に、Claude Coworkについて簡単に補足しておく。Claude Coworkは、Anthropicが提供するClaudeのデスクトップアプリに統合されたナレッジワーク向けの機能・ブランド名であり、ChatGPT Workに相当する位置づけにある。従来のClaude WebアプリやモバイルアプリとUIを共有しつつ、デスクトップOSとの連携機能(画面参照、ファイル操作など)を強化した作業環境として提供されている。今回追加されたインブラウザ機能は、このデスクトップアプリ上で動作する。
OpenAIの直後に動いたAnthropicのインブラウザ機能
AnthropicがClaude Coworkのデスクトップアプリにインブラウザ機能を追加した。OpenAIがChatGPT Workにクラウドベースのブラウザを追加したのに続く動きで、AI知識作業ツール(いわゆるナレッジワーク向けAI)における「ブラウザ統合」が急速にトレンド化している。
ChatGPT WorkとClaude Cowork、ブラウザ実装の違い
両者のブラウザ実装は、一見似ているようで設計思想が異なる。
Claude Coworkのインブラウザはデスクトップアプリにローカルで紐づく。Macのデスクトップアプリ上で動作するため、MacをシャットダウンしたりClaudeアプリを閉じたりすると、そのブラウザセッションは利用不可になる。逆に言えば、アプリを起動したまま席を外している間も、ClaudeのモバイルアプリやWebからリモートでそのブラウザセッションを操作できる。
一方、ChatGPT Workのブラウザはクラウドベースの実装であり、ローカルアプリの起動状態に依存しない点が対照的だ。Claude Coworkのブラウザが開発タスクではなく汎用的なWebタスク向けに自動的に開くという設計になっているのに対し、ChatGPT Workのブラウザ実装はWebページのビルド・インスペクト・アノテーションなど、より開発者寄りのツール群との統合も視野に入れた構成となっている。
セキュリティ:ログイン方法とアイソレーション
AIエージェントがブラウザを操作するうえで、認証情報(パスワードを含むログイン情報)の扱いは最も重要な設計ポイントの一つだ。エージェントがユーザーに成り代わってサイトへログインする以上、その過程でパスワードや Cookie がどのように扱われるかは、セキュリティ上の核心的な問いとなる。
ChatGPT WorkはAIモデルの活動からログインプロセスを分離し、フィッシング検出も行う仕組みを採っている。
Claude Coworkの場合、ログイン方法は2通り用意されている。
- 手動ログイン(ユーザー自身がブラウザ上で操作)
- 別ブラウザからのCookieインポート(現時点ではMac上のChrome・Edge・Firefoxに対応。Safariは未対応)
Cookieインポートによる方法は利便性が高い一方、既存ブラウザのセッション情報をアプリに渡すことになるため、どのサイトのCookieをインポートするかについてユーザー側の判断が求められる。
セキュリティ面では、日常使いのブラウザとは隔離された環境でエージェントが動作する点が基本的な安全策となっている。加えて以下の対策も講じられている。
- 初めてアクセスするサイトでは操作前にユーザーへの許可確認
- 高リスクサイトのブロック
- ユーザーのリクエストとの照合チェック
- ChromeExtensionと同等のプロンプトインジェクション対策
ただし、Anthropic自身も認めているように、これらの対策がすべてのセキュリティ問題を解決するわけではない。AIエージェントによるブラウザ操作はまだ黎明期にあり、未知のリスクが残ることはユーザーとして念頭に置いておきたい。
現時点での評価
記事を書いたMacStoriesは、Claude Coworkのインブラウザ機能にはまだアクセスできておらず、本レポートはAnthropicの公式アナウンスとドキュメントに基づいている。ChatGPT Workのクラウドブラウザについては「初期体験は一長一短だが可能性は感じた」とも述べており、Claude版についても同方向への進化を歓迎している。
AnthropicとOpenAIの双方がこのテーマで今後も素早くアップデートを重ねていくと予想される。ローカル実装とクラウド実装、それぞれのトレードオフがどう評価されるかは、実際の利用体験が蓄積されてから明らかになるだろう。
詳細はAnthropic Introduces an In-App Browser for Claude Coworkを参照していただきたい。