8月28日、Amanda Caswellが「Claude's new memory feature solves my biggest AI frustration」と題した記事を公開した。AnthropicがClaudeに追加したメモリ機能を実際に使い込み、効果を引き出すための5つのプロンプトを紹介している。
「また自己紹介」問題をClaudeが解決しにきた
ChatGPT、Claude、Geminiを使い続けていても、「こいつ、私のことを何も覚えていないのか」と感じる瞬間は誰にでもある。好みの回答スタイル、よく使うツール、進行中のプロジェクトの背景——一度話したはずのことを毎回説明し直す手間は、AIアシスタントの最大の不満点の一つだ。
Anthropicはこの問題に対応するメモリ機能をClaudeに追加した。従来の「カスタム指示(Custom Instructions)」のように手動で書き込む静的な仕組みではなく、会話しながら自動的に学習し、記憶を更新していくのが特徴だ。
主な仕様変更が2点ある。まず、通常のChatとProjectsをまたいでメモリが引き継がれるようになった。Chatで話した内容がProjectsにも持ち込まれるため、プロジェクトを切り替えるたびに説明をやり直す必要がなくなる。次に、会話が終わるまで待たずに、チャット中にリアルタイムでメモリを更新できるようになった。
なお、メモリ機能はFree、Pro、Maxの全アカウントで利用できる。管理面も整備されており、「Settings → Memory」からClaudeが記憶した内容をトピック別に確認し、個別に編集・削除できる。
5つのプロンプト:何を試すべきか
機能の有無より、どう使えば実際に役立つかが重要だ。記事では5つのプロンプトが紹介されている。
① まず現状把握:Claudeは何を覚えているか
Based only on your saved memory about me, tell me the 5 most useful things you know about how I work, what I prefer and what matters to me. Don't use information from this conversation unless it's already in memory.
単純に「私について何を覚えている?」と聞くのとは違う。「現在の会話から得た情報ではなく、保存済みのメモリだけを使え」と明示することで、Claudeが本当に蓄積した情報と、その場で推測しているものを切り分けられる。
記憶内容に誤りがあればMemory設定から修正できるため、まずこのプロンプトで棚卸しすることを記事は勧めている。
② メモリを実際の作業に活かす
I'm starting a new project. Before I give you any other instructions, use what you already remember about my preferences and the way I work to suggest how we should approach it. Separate what you're basing on memory from anything you're assuming.
AIは「空白を埋める」のが得意なため、記憶に基づいた回答と単なる推測を区別するのが難しい。「メモリに基づいている部分と、仮定している部分を分けて示せ」と指示することで、メモリ機能が実際に機能しているかを確認できる。
③ Claudeに「何を覚えるべきか」を聞く
Based on the kinds of things I ask you to help with, what are 5 things about my preferences, routines or goals that would make you more useful to me if you remembered them? Ask me one question at a time to fill in the gaps.
ユーザーが教えるべき情報を自分で考えるのではなく、Claudeに不足を特定させるアプローチだ。料理レシピをよく頼んでいるのに嫌いな食材を知らない、旅行計画に使っているのに宿泊スタイルの好みがない——そういったギャップをClaudeが自分で洗い出す。
プライバシーに関する注記として、AnthropicはデフォルトでHealth情報、宗教的信条、政治的見解などの機密情報を保存しない設定にしている。設定から変更可能だが、意図的に個人情報を教える前に確認しておくことを記事は推奨している。
④ メモリの棚卸し:一番見落とされがちなプロンプト
Audit what you currently remember about me. Put each memory into one of four categories: useful, outdated, unclear or unnecessary. Explain briefly why, and tell me which memories you think I should review or delete.
記事の中で著者が最も気に入っていると述べているプロンプトがこれだ。3か月前に終わったプロジェクト、変わった好み、そもそも間違って記憶された情報——蓄積されたメモリが増えるほど、使われ続けてはいけない情報も増える。「useful / outdated / unclear / unnecessary」の4カテゴリに分類させ、最初の仕分けをClaudeに任せる発想がうまい。最終的な削除判断はユーザーが行う。
⑤ 繰り返し説明しているコンテキストを特定させる
Based on our conversation history and what you know about me, what are the things I seem to explain or repeat most often? List them and suggest how you could use memory to save me time if you already knew these things.
メールの文体、よく使うツール、決まったワークフローなど、毎回説明しているはずのコンテキストをClaudeに列挙させ、次回以降どう活用できるかを示させる内容だ。「自分が何を繰り返し伝えているか」をユーザー自身が把握できていないことも多く、Claudeに客観的に指摘させることで、メモリに登録すべき情報の優先度を整理できる。
メモリ機能は地味なアップデートに見えるが、「毎回の自己紹介コスト」を削れるかどうかでAIアシスタントの実用性は大きく変わる。まずプロンプト①でClaudeが現状何を知っているかを確認し、④で定期的に整理する——この2ステップだけでも試す価値はある。
詳細はClaude's new memory feature solves my biggest AI frustrationを参照していただきたい。