8月29日、Techstrong.aiが「OpenAI Testing 'Persistent Mode' to Give Codex Always-On Autonomous Coding Capabilities: Report」と題した記事を公開した。OpenAIがコーディングエージェント「Codex」向けに、人間の監視なしに自律稼働し続ける「永続モード(Persistent Mode)」を開発中であると報じている。
「proactivity(プロアクティビティ)」——自発的にタスクを生成する仕組み
この永続モードの核心となるのが、内部で「proactivity(プロアクティビティ)」と呼ばれるシステムメカニズムだ。
このメカニズムのもとでは、Codexはユーザーの指示を実行して終わりではなく、自ら次のタスクを生成し、複数の作業セッションをまたいで継続的に動作する。これまでのユーザーとのやり取りの履歴やコンテキストを参照しながら、次に何をすべきかを自律的に判断する仕組みだ。さらに、ユーザーからの指示がなくても自発的にメッセージを送る機能も持つとされているが、内部ガイドラインでは「控えめに使用すること」と規定されている。
「眠らないAIエージェント」——Codexに永続稼働モードが登場か
OpenAIのコーディングツール「Codex」のリポジトリ内に、未リリースの「persistent mode(永続モード)」への言及が見つかった。この発見はWiredの技術分析によって最初に報じられたものであり、Techstrong.aiはその内容をもとに詳細を伝えている。
現状のAIエージェントは、タスク完了後または動作上限に達した時点で自動的にシャットダウンする設計になっている。大規模プロジェクトの途中で処理が打ち切られることも珍しくない。永続モードはこの制約を根本から変える。コード内の記述によれば、Codexは「明示的に停止させるまで動き続ける」設計になるという。
APIコスト暴走を防ぐ「reasoning effort」設定
無制限稼働にともなうコスト爆発を防ぐため、インターフェースには「reasoning effort(推論量)」設定が用意される。これは、モデルが一つの問題に対してどれだけ計算資源を費やすかを制御するパラメータであり、OpenAIのAPIでも既に導入されている概念だ(公式ドキュメント参照)。永続モードにおいては、開発者がコンピューティングパワー・トークン使用量・処理時間の上限をそれぞれ個別に制御できる形で実装される。
安全上の制約——権限は拡張されない
監視なしのソフトウェア実行に伴うリスクへの対処として、内部ガイドラインは明確な境界を設けている。
- 永続モードはエージェントの基本的な権限を拡張しない
- ユーザーのローカル環境の外側にあるシステムを変更する場合は、人間による明示的な許可が必要
- ソースコードはCodexのCLI(コマンドラインインターフェース)だけでなく共有コアフレームワーク内に存在するため、業界観測筋は将来的にデスクトップ全体のエコシステムへ展開されると見ている
OpenAIはこの機能を公式には発表しておらず、取材に対するコメントも返していない。
「眠らないAI」が孕むリスク
常時稼働型AIへの競争は業界全体で加速している。MicrosoftやMetaも同様の自律・連続稼働フレームワークを開発中だ。
一方で、自律ツールの先行実験では、エージェントを無監視で放置した結果として深刻なソフトウェアエラーや意図しないデータ損失が発生した事例も存在する。エージェントAIの安全性については、OpenAI自身のUsage Policiesでも継続的な人間の監視の重要性が言及されており、監視なしの稼働が持つリスクは業界が直視すべき課題として残る。
永続モードが正式リリースされれば、OpenAIにとって最もコンピューティング負荷の高いサービスとなる。開発者がAIに夜間の開発・保守作業を任せるという方向性への、戦略的な賭けとも言える。
詳細はOpenAI Testing 'Persistent Mode' to Give Codex Always-On Autonomous Coding Capabilities: Reportを参照していただきたい。