8月25日、Search Engine Journalが「1 In 10 Webpages Shows Signs Of AI Authorship, Pew Reports」と題した記事を公開した。Pew Research Centerが約50万件のウェブページを分析した結果、全体の**約10%にAI著作・編集の痕跡が確認され、ChatGPT登場以降に公開されたページに限ると35%**に跳ね上がる——という実態を詳しく紹介している。数字が示す規模の大きさはもちろん、「全文AI生成」と「AI編集済み」を区別できないという検出限界も、この調査を読み解くうえで欠かせない論点だ。
ChatGPT以降に公開されたページの35%にAIの痕跡
Pew Research CenterのData Labsチームが8月20日に公開した調査は、約50万件のウェブページをAI検出器にかけたものだ。全体では**約10%にAI著作または編集の痕跡が見られたが、ChatGPT公開後に作成されたページに絞ると、その割合は35%**に跳ね上がる。
なお、この「ChatGPT以降に限ると35%」という数値は元記事および元調査に明示されているものであり、全サンプル(ChatGPT登場前のページを含む)に対する10%という全体値との対比として提示されている。ChatGPT登場を境にAIコンテンツが急増したことを示す指標として読むべき数字だ。
ドメイン別の内訳も鮮明だ。6ヶ月平均の検出率は以下の通り:
- .com:9.35%
- .org:4.59%
- .edu:1.03%
- .gov:0.76%
ChatGPT登場前のサンプルでは、4種類すべてのドメインで検出率は1%以下だった。その後、.comが急速に上昇する一方、.eduと.govは依然として1〜2%付近に留まっている。商業系ウェブが突出して高い数値を示しており、SEO施策が集中する領域と完全に重なる。
AIテキストの「癖」がデータに現れている
Pewはテキストレベルの特徴量も分析している。ChatGPT公開後に顕著な変化が見られたマーカーは以下の通り:
- ダッシュ(—)の使用頻度:2023年初頭の1万語あたり5.79回 → 2026年初頭に11.19回へ倍増
- オックスフォードカンマ(列挙の最後のカンマ):63%増
- 「delve(掘り下げる)」「interplay(相互作用)」「testament(証拠)」などAI特有の語彙:2倍以上に増加
- 「It's not just X, it's Y」型の否定並列構文:0.87 → 2.36件/1万ページ(依然まれではあるが)
ただしPewは「これらの特徴は人間の書き手も使うため、個別のページを特定するものではなく、大規模なテキスト集合における傾向を示すものだ」と明記している。個々のページに適用できるシグナルではなく、あくまで統計的な傾向だという点は重要な留保だ。
他の推計とは数値に開きがある
今回のPewの調査以外にも、ウェブ上のAI生成コンテンツ比率を推計した研究が相次いでいる。
- Graphite(SEOコンサルティング企業):2026年第1四半期における新規英語記事のうち、主にAIが生成したものは**49.9%**と推計
- **インペリアル・カレッジ・ロンドン、Internet Archive、Stanfordによるプレプリント(査読前):2025年中頃時点で、新規公開ウェブサイトの35%**がAI生成またはAI支援と検出されたと報告
これらの調査はいずれも、AI検出ツールのPangram(テキストのAI生成確率をスコアリングするSaaS型検出サービス)を何らかの形で使用している。GraphiteはさらにCopyleaks(盗用・AI生成検出に特化したプラットフォーム)およびGPTZero(主に教育現場向けに普及したAI文章判定ツール)も併用している。検出ツールへの依存度が高い点は、どの推計にも共通する方法論上の制約だ。
「AI編集」も検出対象に含まれる
見落としやすいが重要な点がある。Pewの検出閾値は、AIが最初から書いたページだけでなく、人間が書いてAIツールで仕上げたページも同じカテゴリに分類する。
Google DocsやMicrosoft WordにはすでにAI編集機能がネイティブ搭載されており、日常的な文書作業にAIが組み込まれつつある。しかし今回のPewを含めた各調査は、「全文AI生成」と「AIで一部編集」を区別していない。
この点は数字の解釈において決定的に重要だ。「35%」や「10%」という数値は、AIが全面的に書いたコンテンツの割合ではなく、何らかのAI関与が検出されたコンテンツの割合に過ぎない。検出ツール自体の精度限界と合わせて考えると、これらの数字は「AIコンテンツがどれだけ存在するか」の上限推計として読むのが妥当だろう。記事の正確さや有用性は、結局のところ実際に読んで判断するしかない——というのが、Pewが示す現時点での結論だ。
※編集部の考察:AI検出ツールの精度は業界的にまだ発展途上であり、今回の各調査の数値はツールの誤検知率や設計思想に強く依存する。「何%がAI生成か」という問い自体が、現状の技術では一義的に答えられないことを念頭に置いて読む必要がある。
詳細は1 In 10 Webpages Shows Signs Of AI Authorship, Pew Reportsを参照していただきたい。