8月25日、Appleが「Apple unveils a more powerful Mac mini featuring the all-new M6 and M5 Pro」と題した記事を公開した。新チップM6およびM5 Proを搭載した新型Mac miniの発表で、LM Studioを使ったLLMのプロンプト処理がM1比で最大13.5倍高速化、上位モデルでは64GBのユニファイドメモリと307GB/sのメモリ帯域幅を実現した。新型Mac miniは本日より予約受付を開始し、9月22日より出荷が始まる。
Llama 3やMistralなどのオープンソースLLMをローカル実行する環境として、LM Studioのような推論ツールが急速に普及している。クラウドAPIのコストや遅延・プライバシー問題を回避したいエンジニアや研究者にとって、十分なメモリ帯域幅を持つオンプレミス環境の選択肢はこれまで限られていた。今回の発表はその状況を変えうる内容だ。
M6:エントリー機でもAIが大幅高速化

M6搭載Mac miniの最大の変化は、GPUコアへのNeural Accelerator統合だ。これはMac miniとして初の試みで、M4比でAIパフォーマンスが最大4倍、グラフィックスが最大2倍高速化した。Dual 16コアNeural Engineも前世代比最大2倍の処理速度となっている。
CPUは12コア(前世代比+2コア)、GPUも12コア(同+2コア)構成。ユニファイドメモリは標準16GB・最大32GBで、メモリ帯域幅は最大170GB/sだ。
Apple公表のベンチマーク数値は以下の通りだ:
- LM StudioでのLLMプロンプト処理:M1比で最大13.5倍、M4比で最大4.8倍高速
- Microsoft ExcelでのSpreadsheet計算:M1比で最大2.3倍、M4比で最大1.5倍高速
- Cyberpunk 2077でのレイトレーシングゲーミング:M4比で最大2倍高速
M1世代からの乗り換えを検討しているエンジニアにとって、LLMの応答速度13倍超は体感上も大きな差になるはずだ。メモリ上限32GBという制約はあるものの、7Bや13Bクラスのモデルを日常的に使う用途には十分な構成だ。価格はApple公式サイトで確認できる。
M5 Pro:64GBメモリで大規模モデルをローカル実行

M5 Pro搭載モデルは、より大規模なワークロードを想定した構成だ。CPUは最大18コア、GPUは最大20コアで各コアにNeural Acceleratorを内蔵。ユニファイドメモリは最大64GB、メモリ帯域幅307GB/sに達する。
70Bパラメータクラスのモデルを4ビット量子化した場合、概ね35GB前後のメモリを必要とする。64GBのユニファイドメモリがあれば、こうした大規模モデルをローカルで動かしながらOSや他のアプリと共存させることが現実的だ。ProRes RAW編集や研究用途の大規模データセット読み込みにも対応できる帯域幅でもある。
Apple公表のベンチマーク数値は以下の通りだ:
- LM StudioでのLLMプロンプト処理:M2 Pro比で最大8.5倍、M4 Pro比で最大4倍高速
- Blenderでのレイトレーシングレンダリング:M2 Pro比で最大4.5倍、M4 Pro比で最大1.4倍高速
- AffinityでのImage処理:M2 Pro比で最大2.1倍、M4 Pro比で最大1.5倍高速
M5 ProモデルはThunderbolt 5(仕様詳細)を3ポート搭載しており、複数台のMac miniを接続して大規模AIモデルをオンデバイスで分散実行する構成にも対応する。コンシューマー向けデスクトップで分散推論環境を組める選択肢として、研究者や個人開発者にとって有力な候補となりそうだ。なお、M6モデルはThunderbolt 4止まりであり、この分散クラスタリング構成はM5 Pro専用の機能として位置づけられている。
接続性の強化:Thunderbolt 5とgenlock対応
コネクティビティ面でも変更がある。M6モデルはThunderbolt 4×3、M5 ProモデルはThunderbolt 5×3を背面に備える。前面にはUSB 3対応のUSB-Cポート×2とヘッドフォンジャック(高インピーダンスヘッドフォン対応)を配置。有線LANは標準で2.5Gb Ethernetに強化され、10Gbオプションも選択可能だ。無線はWi-Fi 7とBluetooth 6に対応する。
新たに追加されたgenlockサポート(USB-C経由)も映像制作者には見逃せない機能だ。genlockとは複数の映像機器の同期信号を一致させる技術で、放送・映像制作の現場では標準的な要件となっている。iPhone 17 Proとの同期にも対応するとされており、Mac miniをビデオ制作のハブとして活用する用途が広がりそうだ。
M6とM5 Proの選択基準
| M6 | M5 Pro | |
|---|---|---|
| CPU | 12コア | 最大18コア |
| GPU | 12コア | 最大20コア |
| メモリ上限 | 32GB | 64GB |
| メモリ帯域幅 | 170GB/s | 307GB/s |
| Thunderbolt | TB4×3(背面) | TB5×3(背面) |
| クラスタリング対応 | 非対応 | ○ |
ローカルLLMの実行がメイン用途で、モデルサイズが32GB以下に収まるならM6で十分だ。70Bパラメータ以上の大規模モデルや複数モデルの同時実行、ProRes RAW編集などを想定するならM5 Proが現実的な選択になる。
詳細はApple unveils a more powerful Mac mini featuring the all-new M6 and M5 Proを参照していただきたい。