8月24日、Dataconomyが「SoftBank to issue record $6.3 billion retail bonds to fund AI investments」と題した記事を公開した。ソフトバンクグループがAI投資の資金調達を目的に1兆円(約63億ドル)のリテール債券を発行する計画を発表したと伝えている。
日本企業史上最大のリテール債券発行
ソフトバンクグループは、1兆円規模のリテール債券(個人投資家向け社債)を発行する計画を発表した。これは日本企業によるリテール債券の発行としては過去最大規模であり、2025年4月に同社が記録した6,000億円の約2倍に相当する。
債券の満期は7年物で、表面利率(クーポン)は**4.3〜4.9%**の範囲が目安とされており、最終的な条件は9月4日に確定する予定だ。調達資金はAI関連投資への充当と、既発債券の償還に充てられると、同社の広報担当者がウォール・ストリート・ジャーナルに対して説明している。
なぜ「リテール債券」か、そして個人投資家はなぜ受け入れるのか
リテール債券とは、機関投資家ではなく個人投資家を対象とした社債を指す。ソフトバンクは日本国内のリテール市場において最も活発な発行体として知られており、「福岡ソフトバンクホークスボンド」のようなブランド名を冠した債券を定期的に発行してきた。これらは銀行預金に比べて高い利回りを提供することから、個人投資家に訴求する商品設計になっている。
今回のクーポン水準(4.3〜4.9%)は、日銀が利上げ局面にある現在の金利環境において、個人投資家にとって魅力的な水準といえる。メガバンクの定期預金金利が依然として低水準にとどまる中、4%超のクーポンは実質的な代替商品として機能しうる。
ただし、ソフトバンクグループは有利子負債が極めて多い企業としても知られており、格付け面では投資適格の下位に位置づけられることが多い。リテール債券市場においてこれだけの規模が成立するのは、ブランド認知度の高さと利回りの魅力が相まって個人投資家の需要を引き出してきた実績があるためだ。高利回りの裏にあるリスク特性は、投資判断の上で引き続き留意すべき点である。
AI投資加速に向けたポートフォリオ整理
今回の資金調達は、ソフトバンクのAI戦略を支える動きの一環だ。同社はAI投資の原資を確保するため、保有資産の現金化を進めており、具体的には以下の動きがあった。
- Nvidia株を全株売却
- Arm(半導体設計大手)の株式を担保にした資金調達
- T-Mobileの保有株を売却
Armはソフトバンクが支配株主として保有するチップ設計企業で、AIブームの恩恵を直接受けるポジションにある。そのArmの株式を活用しながら、さらにリテール債券で1兆円を積み上げるという構図は、ソフトバンクがいかにAI投資に資本を集中させようとしているかを示している。
アジアのAI資金調達ラッシュの中で
今回のソフトバンクの発表と同日、NTTファイナンスも機関投資家向けに1兆円規模の社債を発行し、こちらも日本企業として最大の社債発行となった(元記事に記載)。アジアのテクノロジーセクターでは、アリババグループもAI強化に向けた大規模な資金調達を進めており、AI向け資本投下の競争が加速している。
一方、発表当日のソフトバンク株は下落した。アジアのテクノロジー株全体が軟調となり、日経225は0.5%下落した。
詳細はSoftBank to issue record $6.3 billion retail bonds to fund AI investmentsを参照していただきたい。