2026年8月24日、The Next Webが「Nvidia is in talks to back Perplexity at more than $30bn」と題した記事を公開した。この記事では、NvidiaがAI検索スタートアップのPerplexityに対し、評価額300億ドル超での投資を交渉中であることについて詳しく紹介されている。
Nvidiaの投資が「循環取引」に見える理由
今回の話が単なる「大型AI投資ニュース」で終わらない理由は、Nvidiaの投資構造そのものにある。
Nvidiaは2026年だけで400億ドル超の株式投資をAI関連企業に実行しており、その投資先はほぼ例外なく、受け取った資金でNvidiaのチップを購入する。モデル開発者、クラウドプロバイダー、インフラ企業——構図はどれも同じだ。Perplexityも同様で、すでにNvidiaのVera CPUの初期採用企業として名前が挙がっている。
この循環性はすでに市場の警戒を招いている。Nvidiaが約7500億ドル相当のAI関連コミットメントを発表した際、同社自身のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が過去最大水準に拡大した。CDSとは債務不履行リスクを売買するデリバティブ契約で、スプレッド(価格差)が拡大するということは、市場参加者がその企業の信用リスクを高く見積もっていることを意味する。今回の拡大は、CDS市場がNvidiaの投資戦略を「分散投資」ではなく「サプライヤーが自社の受注残を自ら融資している」構造と読み取り始めていることを示唆している。
評価額300億ドルの根拠は薄い
Perplexityは2022年創業、CEOはAravind Srinivas。Googleのような「青いリンクの羅列」ではなく、質問に直接答える会話型検索を武器にしてきた。
前回ラウンドの評価額は約200億ドルとされており、今回の300億ドル超はそこから50%以上の上昇にあたる。ラウンド規模は「数十億ドル規模」と報じられているが、Nvidiaの出資比率も他の参加者も未公表だ。
問題は、Perplexityが監査済み財務諸表を開示していない点にある。広く流通している「年換算収益」の推計は、投資家向けブリーフィングや二次報道に基づくものであり、300億ドルという評価額に付く倍率は、ある種の信頼の上に成り立っている。
過去18ヶ月だけでも、140億ドル、180億ドル、200億ドルという評価額の報道が「事情に詳しい関係者」の言葉とともに相次ぎ、それぞれ正式な数字として落ち着くまでに数ヶ月を要した。今回も同じパターンをたどる可能性は十分にある。
ライセンス契約という異例の選択肢
The Next Webが引用する報道によれば、交渉テーブルには株式投資だけでなく、技術ライセンス契約の可能性も上がっているという。これは通常の顧客関係の外側にある話であり、Perplexityがハードウェアを購入するだけでなく、Nvidiaの技術により深くアクセスできる立場になることを意味する。Nvidiaにとっても、AIチップの販売先としてではなく、AI検索の構築プロセスそのものに関与できる機会になる。ただし、このライセンス交渉が今も生きているのか、交渉から外れたのかは現時点で不明だ。
競争環境は厳しさを増すばかり
Perplexityを取り巻く競合状況は緩んでいない。Googleは自社の検索結果ページに会話型回答を統合し、OpenAIはChatGPTの検索機能を強化して独自ブラウザも投入した。どちらも、Perplexityが金と時間をかけて獲得しなければならない「配信チャネル」を最初から持っている。
Perplexityは2025年8月、Googleに対してChrome買収の345億ドルの非公式オファーを出した——自社評価額の約2倍という数字だ。Googleがこれを相手にすることはなかった。現在はAIブラウザ「Comet」を自社で開発中で、SrinivasがCometを「エージェント型ブラウジング」の基盤と位置づけ、検索に留まらない情報取得体験の構築を目指している。Nvidiaとの資本関係が深まれば、このインフラ整備に必要なコンピューティングリソースへのアクセス優位性が生まれる可能性はあるが、それが競争上の差別化につながるかどうかは別の問いだ。
会話型検索という市場カテゴリ自体、Perplexityが先行した時期はすでに過ぎており、いまや資本力と配信力を持つ巨人との正面対決が続いている。今回の調達が評価額の正当性を裏付けるためにも、Perplexityには収益の可視化と差別化戦略の明示が求められる段階に入っている。
次の確認ポイント
NvidiaはすでにPerplexityのキャップテーブル(株主名簿)に名を連ねており、Jeff Bezosも同じラウンドに参加している。今回の投資が正式に成立すれば、その事実はNvidiaの次回四半期決算(11月予定)の投資ラインに現れることになる。それが確認できるかどうかが、このサイクルの速度を測る一つの指標になるだろう。
詳細はNvidia is in talks to back Perplexity at more than $30bnを参照していただきたい。