8月25日、Dataconomyが「Sam Altman warns of AI power concentration and calls for public control」と題した記事を公開した。OpenAI CEOのSam AltmanがAIの権力集中に警告を発し、個人の自律性と公共によるコントロールの必要性を訴えた発言について詳しく紹介されている。
AI権力集中への警告——AltmanがFounders Podcastで語ったこと
OpenAI CEOのSam Altmanは、「Founders Podcast」のインタビューの中で、AIの力が少数の支配的なプレイヤーに集中し、大多数の人々がAIの未来に対して影響力を持てなくなる可能性に懸念を示した。
Altmanは、あるべき姿についてこう述べた。
「正しいアプローチは、人々が未来を深くコントロールできるようにすることだ。社会とモデルは共に進化していく。」
この発言は、AI開発においてより民主的なアプローチが必要だという彼の考えを示している。
さらに、AIの安全性をめぐる過度な恐怖が、自由と安全のトレードオフを招く危険性についても言及した。
「リスクの大きさに怯えすぎて、世界を守るためなら自由をかなり犠牲にしてもいいと感じている人が多い。」
この発言はAIリスクへの過剰反応に対する警告であり、「安全規制そのものを否定している」という意味ではない点に注意が必要だ。Altman自身も権力集中への歯止めとしてのガバナンスの重要性を繰り返し強調している。
なお、AnthropicのCEOであるDario AmodeiもAIガバナンスの強化を訴えている点ではAltmanと問題意識の一部を共有しているが、Amodeiはより強固な安全規制を主張する立場として知られており、規制の範囲や強度については両者の見解は必ずしも一致しない。業界全体でガバナンスのあり方が問われているという文脈は共通しつつも、その中身は論者によって異なることを踏まえておく必要がある。
「現在のAIは主にプロダクトの失敗だ」
Altmanは現在のAIの状況を「mostly a product failure(主にプロダクトの失敗)」と表現し、iPhoneが登場する前のスマートフォン黎明期に例えた。厳しい自己評価の背景には、直近の具体的な撤退事例がある。元記事によれば、
- Sora(動画生成AI):2026年3月に終了。ピーク時のユーザー数は約100万人に達していたが、1日あたりの計算コストが約100万ドルに上っており、廃止に至った。
- Atlasウェブブラウザ:2025年10月に公開されたが、2026年8月9日をもって廃止予定。
これら2製品を打ち切ったのは、コアとなる研究領域に集中するためだとAltmanは説明している。
また、2023年にGPT-4をリリースした際、ソフトウェア市場に大きな破壊的変化が起きると予想していたが、実際にはそうならなかったと認めた。
「GPT-4の時点で、ソフトウェアビジネスがすぐに大きく塗り替えられると思っていたが、そうはならなかった。」
8億人・1億社を見据える一方で、データセンター建設への反発
Altmanが掲げるビジョンは大きい。8億人のユーザーと1億社の企業がOpenAIのプラットフォームを活用する未来を目指している。AIが個人の自律性を高め、中小企業の創業ブームを生み出すと主張する。
しかし足元では、AI基盤整備に対する市民の反発が強まっている。元記事によれば、Gallupの最新調査ではアメリカ人の約70%がデータセンターを自分のコミュニティに建設することに反対しているという。テクノロジー企業側が技術の便益を訴えるだけでなく、社会的な懸念に正面から応える必要があることを、Altman自身も認識している。
NVIDIAの70億ドル投資——権力集中テーマとの接点
記事ではこれらの議論と並行して、NVIDIAがAIスタートアップ「Poolside」に70億ドルを投資すると発表したことも取り上げている。PoolsideはNVIDIAのオープンウェイト(重みを公開した)AIモデル群「Nemotron」の強化を目指している。
この動きは、Altmanが警戒する「少数プレイヤーへの権力集中」という文脈と切り離せない。巨大資本によるAIスタートアップへの大規模投資が相次ぐ中、誰がAIの方向性を決めるのかという問いは一層切実さを増している。オープンウェイトへの移行加速は分散化の一形態ではあるが、投資主体の集中という別の権力構造を生み出しうる点で、ガバナンス議論の核心に触れるトピックだ。
Altmanの発言は、AI開発を少数の企業が握る現状への問題提起であり、ガバナンスの議論が本格化していることを示している。詳細はSam Altman warns of AI power concentration and calls for public controlを参照していただきたい。