8月22日、Windows Latestが「Microsoft built a dedicated app that forces Bing everywhere on Windows 11, including Chrome, Firefox, and Brave」と題した記事を公開した。Microsoftが、Chrome・Firefox・Braveといったサードパーティブラウザのデフォルト検索エンジンをBingへ強制的に切り替える専用アプリを独自開発していたことが明らかになった。そのアプリに対してGoogleがブラウザ内で即座に「元に戻す」ボタンを表示し、さらにMicrosoftがそのボタンの直下に引き留めUIを割り込ませるという、ユーザーのブラウザを舞台にした検索エンジン争奪戦が繰り広げられている。
全ブラウザのBing化を狙う「Microsoft Recommended Search Settings」
Microsoftが開発したのはMicrosoftSettings.exeという単体実行ファイルだ。正式名称は「Microsoft Recommended Search Settings」で、その唯一の目的はPC上にインストールされている全ブラウザのデフォルト検索エンジンをBingに切り替えることである。
Windows UpdateやMicrosoft Store経由での配布はなく、Microsoftの公式ダウンロードサーバーに直接ホストされている。ファイルサイズは22.2MB。起動するとEdge・Firefox・Chrome向けの拡張機能を順にインストールさせ、最後にMicrosoft Rewardsのページへリダイレクトする。Bingへの乗り換えをポイント還元で促す仕組みだ。
このアプリを最初に発見したWindowsテスターのXeno Pantherは、「デフォルト検索をBingに変更するか聞いてきて、セットアップ完了後にrewards.bing.com/m365offerを開く」と報告している。返信欄では、アプリの実態がWinUI(WindowsネイティブのモダンなUI開発フレームワーク)とWebView2(Chromiumベースのウェブ表示コンポーネント)で構築されたシェルであり、Chromeに拡張機能を組み込むためのラッパーに過ぎないという指摘もある。
ChromeがBingを検知、MicrosoftはすかさずChromeの警告の下に割り込む
記事の著者が実際にMicrosoftSettings.exeを実行してテストしたところ、インストール後にChromeとBraveの両方が「Microsoft Bing Homepage & Search for Chrome」という拡張機能の追加を検知し、警告を表示した。この拡張機能は「全サイトのデータを読み書きできる」「通知を表示できる」「ホームページ・検索設定・スタートページをbing.comに変更する」という広範な権限を要求する。
警告を無視して拡張機能を有効化すると、Chromeが即座に「Google Searchに戻しますか?」というプロンプトを表示した。そこにMicrosoftは、そのChromeの「元に戻す」ボタンのすぐ下に「待って、戻さないで!」という別のボックスを配置し、Bingに留まるよう誘導してくる。

世界最大級の2社がユーザーのブラウザ内で検索エンジンの取り合いを演じるという構図はほとんど前例がない。Windows Latestは2024年3月にも同様のBingポップアップ戦争をChrome上で報告しており、Microsoftのこの路線は数年来続いていることがわかる。
MSNを整理しながら、別ルートでMSNを押し込む矛盾
タイミングとして皮肉な点がある。MicrosoftはここしばらくMSNのごちゃつきを減らす方向に動いていた。Windows SearchからMSNタイルや広告を排除し、Windows 11のウィジェットもMSNフィードと広告をデフォルトでオフにする変更を行っている。
しかし今回のアプリでBing拡張機能を受け入れると、Chromeの新規タブページはMSNニュースフィードに変わる。表から見えるところは整理しながら、別のルートから同じコンテンツを押し込むという矛盾した動きだ。
Bingは月間10億ユーザーを突破——それでも手段を選ばない理由
Bingそのものは伸びている。Satya NadellaはBingが初めて月間10億ユーザーを突破したと発言している。それでも検索広告市場でGoogleと本格的に戦うには、シェアの量的な拡大が不可欠であり、Microsoftはあらゆる手段を並行して打っている。GoogleアカウントやAppleアカウントでのBingサインインの解禁、100万ドルの懸賞によるユーザー獲得、Googleトップページに似せたデザインの長期維持などがその例だ。
サードパーティブラウザへの介入という今回の手法がユーザーの反発を招きやすいことは確かだが、Microsoftが手を緩める気配はない。Windows Updateやプリインストールアプリとの組み合わせでこのアプリが広く展開されるかどうかが、次の焦点となる。
詳細はMicrosoft built a dedicated app that forces Bing everywhere on Windows 11, including Chrome, Firefox, and Braveを参照していただきたい。