AIで生産性が3倍になった私たちが、チームを置き去りにした話
ARANK
「すぐには理解できないが、正しいことを言っているのだと思う」週次の報告会で、上司がそう言った。私はAIで作ったスライドとHTMLレポートを画面に映していた。上司は内容を否定しなかった。むしろ、正しいと言ってくれた。理解はできないけれど、正しいのだと思う、と。そのときの私は、それを好意的な反応として受け取っていた。今になって思えば、あれはレビューが壊れた瞬間だった。私は大手製造業のDX推進部門でマネージャーをしている。この1年ほど、チームの若手中堅メンバーと一緒にAI活用を進めてきた。体感の生産性は3倍になった。そして同じ時期に、私たちは上司とベテランメンバーを置き去りにした。これは、その置き去りがどう起きて、何を壊したかの記録である。先に結論を書いておく。置き去りは誰の悪意でも怠慢でもなく、構造で起きる。そして置き去りにした側も損をする。登場人物に悪役はいない。上司は誠実だった。ベテランは真面目だった。若手は優秀だった。それでも壊れた。だからこの話は、たぶんあなたの組織でも起きる。対象読者:組織のAI活用を推進している人、チーム内のAI活用の温度差にモヤモヤしている人、「一部の若手だけが突っ走ってい…