8月21日、エンジニア・Ionut Ghinda氏が運営するallaboutcoding.ghinda.comが「Quick impressions: A week of using Codex more than Claude」と題した記事を公開した。
2025年にOpenAIがCodex CLIをリリースして以来、ターミナルで動作するエージェント型AI coding assistantの選択肢はますます多様化している。Codex CLIとAnthropic製のClaude Codeはどちらもコマンドラインから直接コードの生成・編集・デバッグを行える点で競合するが、その「性格」は大きく異なる。普段はClaude派の筆者が1週間あえてCodexを優先的に使い続けた結果、浮き彫りになった両者の違いが率直に語られている。
本質を突く一言:「Codexはいわれたことをやるが、やりすぎない」
筆者が記事の締めに置いた比較が、この1週間の観察を端的に表している。
ClaudeはAIに聞かれてもいないことまで察して先回りしようとする。Codexはいわれたことをやるが、やりすぎない。終わったと思ったら止まる。
筆者はデバッグで焦ったとき、条件反射でClaude Codeを開いてしまったと認めている。「Claudeが優れていたわけではなく、慣れていたから」——この正直な自己観察が、記事全体の信頼性を高めている。
コードの質:Codexはシンプル、Claudeは多機能
Ruby/Ruby on Railsでの出力で筆者が好んだのは、Codexが生成するコードにコメントが少ない点だ。コメントを極力排除する実験も別途進めているという。
アーキテクチャの傾向は対照的だ。
- Claude:抽象化、概念の分離、Sorbet型シグネチャ、型エイリアスなどを積極的に生成。コードは複雑になりやすいが、エッジケースへの対応も厚い
- Codex:より小さくまとまった実装。余計なものを作らない
同一の要件を同一ドキュメントで両者に実装させたところ、「Claudeのコードは少し複雑だったが、ケースの処理が行き届いていた」と筆者は評価している。どちらが正解かは用途次第だ。
Codexの失敗例:ブランチ操作で4000行超の差分が発生
Codexが実際に問題を起こした事例も紹介されている。
branch A → branch B → main という構成でrebaseを依頼したところ、CodexはターゲットのBではなくmainに対してrebaseを実行。結果として4000件以上の変更を含むPRが生まれてしまった。Claudeは過去のセッションの文脈から筆者の意図を読み取り、こういった混乱を避けていたという。
JiraなどAtlassian製品との連携でも、筆者の環境(MCPではなくCLIツールを使用)ではCodexがブラウザでログイン画面を開き、CLIに切り替え、またブラウザに戻るという煩雑な動作を繰り返した。この点でもClaudeのほうが「意図を汲んで、やりたい方法でやってくれた」と述べている。
Codexが優れていた点
批判ばかりではない。筆者がCodexを評価した点もある。
- MCPの認証フローがCodexのほうがクリーン。
codex mcp loginを実行するよう促し、適切な認証フローを開く。Claudeは自動実行しようとして詰まることがある - セッションを細かく分けて集中させるスタイルが自然に身についた。Claudeでは大きなセッションを続ける癖があったが、Codexを使い始めてから複数の小さなセッションに分割するようになった
- 出力のトーンが技術的。原文での筆者の表現を借りれば、Claudeがペアプロ中にチャットしてくる同僚なら、Codexはスター・トレックのデータ少佐——感情なく正確に、というイメージだ
速度の優位は帳消しに
「Codexは変更を速く作る」という印象はあったが、その後のテスト再実行・レビュー・PR仕上げに時間がかかり、トータルの時間差はなかったと筆者は結論づけている。初速の印象に引きずられないよう注意が必要だという観察は、AI coding assistantの評価全般に通じる視点だ。
どちらかに乗り換える話ではない
筆者は「どちらが優れているか」という単純な結論を出していない。Claudeは文脈理解と先読みが強く、Codexは指示に忠実でコードがシンプルになりやすい。この記事はあくまで1週間の速報的な所感であり、筆者自身「週末にフル分析をする予定」と締めている。
AI coding assistantの性格の差は、単なる性能の優劣ではなく「どんな働き方と相性がいいか」の問題に近い。Codexの「やりすぎない」特性を強みと取るか弱みと取るかは、チームの規模やタスクの性質によって変わるだろう。
詳細はQuick impressions: A week of using Codex more than Claudeを参照していただきたい。