8月18日、Matthias Bastianが「Anthropic's per-token cost runs 4.4 times the average on Vercel, and developers keep paying」と題した記事を公開した。この記事では、Vercel AI Gatewayにおいてトークンあたりのコストがプロバイダー平均の4.4倍であるにもかかわらず、Anthropicが支出シェアの過半数を占め続けている実態について詳しく紹介されている。
トークン数は30%、しかし支出は65%
Vercel AI Gatewayとは、OpenAIやAnthropicをはじめとする複数のAIプロバイダーへのAPIアクセスをひとつのエンドポイントで束ねるプロキシサービスだ。Vercelは本来Next.jsなどのWebフロントエンドフレームワークで知られる企業だが、近年はAIアプリケーションのインフラ整備にも注力しており、AI Gatewayはその中核的なプロダクトに位置づけられる。このゲートウェイを通じて集計された2025年7月の利用データが公開され、Anthropicのコスト構造の実態が浮き彫りになった。
数字が端的に示している。Anthropicは全トークン数の30%しか処理していないにもかかわらず、支出全体の65.1%を占める。1トークンあたりのコストは他プロバイダー平均の4.4倍だ。
それでも開発者はAnthropicへの支出を続けている。これがこのデータの最大の発見である。
Claude Opus 4の支出シェアと新モデルの台頭
支出シェアのトップはClaude Opus 4(元記事ではclaude-opus-4として参照されている)で、2位には別のAnthropicモデルが13.2%で続く。注目すべきはこの新モデルの立ち上がりの速さで、7月に当該モデルを使ったチームの9割が新規顧客だったとVercelは報告している。Vercelはこれを、プレミアムモデルへの支払い意欲が依然として強いことの証左と読んでいる。
※編集部の考察:元記事中に登場するモデル名の表記については、Anthropicの公式モデル一覧と照合した上で読むことを推奨する。「Fable」はAnthropicの公式モデルラインに存在しない名称であり、元記事の文脈を正確に把握するには原文を直接確認していただきたい。
一方、決済インフラ企業のRampは別の見方をしている。Rampのデータではコーポレート向けの最新Anthropicモデル利用率は低調で、「価格が高すぎる可能性がある」と指摘していた。VercelとRampはどちらも全体の一部しか見えていないが、同じ現象に対して逆の解釈が成立している点は興味深い。
全体のトレンドは「安さへのシフト」
マクロな数字を見ると、Vercel上のトークン総量は前月比59%増、支出は37%増と、ボリュームが支出を上回るペースで伸びている。平均トークン単価は13.6%低下しており、開発者全体としては安価なモデルへの移行が進んでいる。Snowflakeのような企業がより低コストのモデルに切り替えているのも、この傾向の一端だ。
7月にはxAIとMoonshotがオープンウェイトモデルの支出シェアに初めて目立った形で登場したことも報告されている。市場全体でみれば、低価格帯への重力は確実に働いている。
コスト4.4倍でも選ばれ続ける理由
Anthropicが突出して高いにもかかわらず支出シェアで圧倒し続けている構図は、単純な「安ければ勝ち」の競争にはなっていないことを示している。Vercelのデータが示すのは、プレミアム価格帯のモデルに対する支払い意欲が、少なくともVercelユーザー層においては維持されているという事実だ。
ただしこれはあくまでVercelという特定のプラットフォーム上の断面であり、Vercelの利用者層はスタートアップや個人開発者が中心とみられる。RampのデータがAnthropicへの大企業支出の伸び悩みを示していることとあわせて読むと、「プレミアムへの支払い意欲」はユーザーセグメントによって大きく異なる可能性がある点は押さえておきたい。エンタープライズ全体の動向については、また別の調査が必要だろう。
詳細はAnthropic's per-token cost runs 4.4 times the average on Vercel, and developers keep payingを参照していただきたい。