8月17日、The Newsが「Nvidia invests $1.5bn in AI powerhouse behind OpenAI site」と題した記事を公開した。この記事では、NVIDIAがSB Energyに15億ドルを出資し、OpenAI向けデータセンターキャンパスにおけるAI計算インフラを確保した件について詳しく紹介されている。
チップメーカーがインフラオーナーになる
NVIDIAは、エネルギー・データセンター開発企業SB Energyに15億ドルを投資し、オハイオ州に建設中のAIキャンパスで最大8ギガワットのAI計算容量を確保する。このキャンパスは、OpenAI向けに開発が進められている「PORTS-Pike Technology Campus」だ。
当初の稼働容量は4.25ギガワットから始まる計画で、NVIDIAのGPUとネットワーク機器で稼働するデータセンターのために、土地と電力供給を確保済みだという。
SB Energyは、SoftBank Groupが出資する再生可能エネルギー・データセンター開発企業で、2019年に設立された。SoftBankの孫正義氏が主導するAIインフラ投資戦略の一翼を担う存在であり、OpenAIのパートナーとしても知られる。SoftBankとOpenAIは2025年初頭に発表した「Stargate Project」においても連携しており、SB Energyはその物理インフラ側を担う位置づけにある。
今回の案件でNVIDIAが担う役割は単純な顧客関係ではない。NVIDIAが自社のGPUを購入・採用する企業に対して資金を提供し、そのインフラ上で自社製品が稼働するという構造は、NVIDIAが過去にも採用してきたアプローチだ。たとえばNVIDIAは、自社GPUを大量採用するクラウドAIインフラ企業のCoreWeaveに対しても出資しており、チップの需要を資本面から下支えするパターンが繰り返されている。元記事はこの構造を「不正」や「インサイダー取引」として断定しているわけではないが、業界内では資金の循環性に対する懸念が指摘されていることも事実だ。チップの需要を自ら作り出す戦略として機能している側面がある一方、利益相反への目線も強まっている。
オハイオ州の規模感
今回のオハイオプロジェクトの主な数字は以下の通りだ:
- NVIDIAが確保する計算容量:最大8ギガワット(当初稼働分は4.25ギガワット)
- オハイオ州の電力グリッドへの投資額:4.2億ドル
- SB EnergyとSoftBank合算の新規発電容量開発目標:少なくとも10ギガワット
この「10ギガワット」という数字は、AIデータセンターの電力需要がいかに巨大なスケールに達しているかを示している。米国エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、米国の一般家庭の平均年間消費電力は約10,500kWh(約1.2kW)であり、単純計算では10ギガワットは約830万世帯分の消費電力に相当する規模となる。ただし、この換算はあくまで参考値であり、元記事に同様の記述があるわけではない点に留意されたい。(※編集部の考察)
AIモデルの学習・推論に伴う電力消費が急増する中、チップ・電力・データセンター開発をセットで押さえる動きが大手テック企業の間で加速していることが、この案件からも見て取れる。
数ヶ月越しの交渉
今回の合意は突然ではない。元記事によれば、NVIDIA・OpenAI・SB Energyの三者は数ヶ月にわたり、同キャンパスをめぐるより大規模な資金調達について交渉を続けていた。その規模は「数百億ドル規模」に達する可能性があるとも報じられており、今回の15億ドルはその一部に過ぎない可能性がある。
NVIDIAがチップ販売にとどまらず、インフラ投資・電力確保・データセンター開発にまで踏み込む動きは、AIインフラ競争の主戦場が「どのチップを使うか」から「どれだけの物理インフラを押さえられるか」に移行していることを示している。Stargate ProjectやMicrosoft・Metaによる大規模データセンター投資など、業界全体でこの傾向が加速する中、NVIDIAが資本参加という形でその波を主導しようとしている構図が鮮明になってきた。
詳細はNvidia invests $1.5bn in AI powerhouse behind OpenAI siteを参照していただきたい。