8月17日、SiliconAngleが「AI cloud operator Groq raises $350M more in funding」と題した記事を公開した。AI推論特化クラウドを運営するGroq社が3億5000万ドルの追加資金調達を完了したことについて詳しく報じている。
わずか3ヶ月で2回目の大型調達
Groqは、3億5000万ドル(約520億円)の資金調達を完了したと発表した。ラウンドをリードしたのは既存投資家のDisruptive。なおNvidiaも今回のラウンドへ後から参加する予定とされているが、出資額は未公表であり、参加は確定段階ではない点に留意が必要だ。
特筆すべきタイミングは、わずか3ヶ月前の2026年6月に6億5000万ドルを調達したばかりという点だ。合計すると1年未満で10億ドルを超える資金がGroqに流入していることになる。AIインフラへの投資熱が依然として高いことを示す数字である。
Groqとは何者か:Nvidiaとの大型技術ライセンス契約が転機に
Groqは2016年創業のAIスタートアップで、当初はAIアクセラレータ(推論専用チップ)の開発を本業としていた。転機となったのは2025年12月に締結されたNvidiaとの技術ライセンス契約だ。Nvidiaはこの契約でGroqのチップ技術を取得し、複数の幹部メンバーを迎え入れた。
※なお、元記事内ではこの契約の金額について記載があるが、本文の見出し表記と本文本体で数字に乖離が見受けられた。正確な契約規模については元記事を直接確認していただきたい。
この契約を受けてGroqは方針を転換。自社開発チップ技術をベースにしたAI推論特化のパブリッククラウド「GroqCloud」を立ち上げている。AIクラウド市場ではAWS・Google Cloud・Microsoft Azureといった大手が推論インフラの整備を急いでおり、Groqはその隙間に「推論効率」を武器に割り込む戦略をとっている。
Groq 3 LPU:GPUと組み合わせる「分業型」アーキテクチャ
Nvidiaは、Groqの技術を使って「Groq 3 LPU」と呼ばれるチップを開発し、2026年3月に投入した。LPUはLanguage Processing Unitの略で、AIモデルの推論(学習済みモデルを実際に動かす処理)に特化している。LPUの概要はGroqの公式サイトでも確認できる。
このチップの設計が技術的に興味深い。大規模言語モデル(LLM)は内部的に大きく2つのモジュールで構成されている:
- アテンション機構:ユーザーの入力の中で重要な部分を特定する
- FFN(Feed-Forward Network):学習で得た知識の大部分を格納し、応答生成の計算を担う
Groq 3 LPUは、NvidiaのRubin GPUと役割を分担する設計になっている。FFNの処理をGroq 3 LPUに担わせ、アテンション関連の計算はGPUに送る。この「分散処理アプローチ」はすべてをGPUで処理するより効率的だとNvidiaは説明している。
他にも性能が上がるシナリオとして、以下が挙げられている:
- Mixture of Experts(MoE)アーキテクチャを採用したLLM
- **Speculative Decoding**(処理の一部をより軽量なモデルにオフロードして高速化する技術)を使用するLLM
Groq 3 LPUは1ラックあたり256基のアクセラレータ構成で出荷され、GroqCloudの基盤となっている。
GroqCloudの現状と拡張計画
GroqCloudはベアメタル環境を提供しており、ユーザーが基盤ハードウェアをカスタマイズできる。技術的なノウハウが少ないユーザー向けには、インフラ管理を自動化する「GroqStack」というツールキットも用意されている。
推論に加え、Groqは今回AIトレーニング用途にもプラットフォームが対応すると表明した。ただし、トレーニングはGroq 3 LPUではなくRubin GPUで実行する形になる見込みだ。ワークロードの振り分けにはNvidiaのソフトウェアエンジン「Dynamo」が使われる。
調達資金はクラウド拡張に充てられる。現在は世界13カ所のデータセンターで運用中だが、電力容量を現在の57MWから来年200MW超に引き上げる計画だ。
資金調達の背景
Groqが短期間で繰り返し大型調達を実施できている背景には、Nvidiaとのディープなパートナーシップがあるとみられる。NvidiaがGroqの技術を自社チップとして製品化し、かつ今回のラウンドへの出資参加も検討しているという構図は、単なる投資家・被投資家の関係を超えている。
AIインフラの需要が急拡大する中、推論処理の効率化は各クラウドプロバイダーにとって差別化要素になっている。MLコモンズなどが推論ベンチマークの標準化を進める動きもあり、推論効率を定量的に示せるプレーヤーへの評価が高まっている。Groqのポジションはその文脈で評価されていると考えられる。
※編集部の考察:2016年創業から10年を経た2026年時点での今回の資金調達ラウンドについて、元記事では「シリーズA」と記載されているが、同社のこれまでの調達履歴と照らすと不自然な面がある。誤記・誤訳の可能性も排除できないため、正確なラウンド種別については元記事および同社の公式発表を直接ご確認いただきたい。
詳細はAI cloud operator Groq raises $350M more in fundingを参照していただきたい。