8月18日、gHacksが「Apple Reportedly Trained a China-Specific AI Model With Alibaba's Help for Apple Intelligence」と題した記事を公開した。AppleがAlibabaの協力を得て中国市場向けの独自LLMを訓練したと報じられており、正式ローンチが実現すれば北京が承認した独自AIモデルを持つ初の外国企業となる可能性がある。中国ではOpenAIやAnthropicのモデルが規制上利用できないなか、Apple独自モデル・AlibabaのQwen・Baiduという三者を組み合わせた多層構成でApple Intelligenceの中国展開を目指す複雑な体制が明らかになってきた。
独自モデル+Qwen+Baiduの三層構造
Appleが中国市場向けに独自のLLM(大規模言語モデル)を訓練したと報じられている。プロジェクトに詳しい3名の関係者によると、Alibabaがこの訓練プロセスを支援したという。AppleとAlibaba双方はコメントを拒否している。
注目すべきは、この中国向けモデルが単体で機能するのではなく、AlibabaのQwenファミリーおよびBaiduの技術と組み合わせた多層構成になる見込みだという点だ。
- Apple独自の中国向けモデル:今回の報道で新たに明らかになった核心部分
- AlibabaのQwen:2025年7月にAlibaba自身が統合を公式に確認済み
- Baiduの技術:Baiduも協業中であることを表明
各モデルがどのタスクを担当し、どのように連携するかについては、現時点で詳細は公表されていない。
中国本土ではOpenAIのChatGPTやAnthropicのClaudeは利用できない。Appleは他国向けのApple IntelligenceにChatGPTを統合しているが、中国では規制上これが使えない。そのためAppleは当初、中国のサードパーティ製AIモデルのみに依存する方針だったが、今回の独自モデル訓練はその方針からの転換を意味する。
規制クリアはまだ途中段階
中国のサイバースペース管理局(CAC)は2026年7月15日にApple Intelligenceをスマートフォン向けオンデバイス生成AIサービスの一つとして登録を承認した(承認は7サービスのうちの1つ)。中国では生成AIサービスを公開する前に政府登録が義務付けられているが、この承認は必要な規制ステップの一つを通過したに過ぎず、ローンチ日は発表されていない。
Appleが正式にサービスを開始すれば、北京が承認した独自AIモデルを持つ初の外国企業となる。
AppleとAlibabaの協業は2025年2月から公式化
AppleとAlibabaの関係は2025年2月に表面化した。Alibabaの会長Joe Tsai氏がドバイで開催されたWorld Governments Summitで協業を認め、「Appleは中国の複数の企業と交渉した末、我々を選んだ」と発言している。
2026年8月8日には、AppleがmacOS 26.6以降のMacユーザーを対象に、QwenをSiriおよびWriting Toolsと連携させる方法を解説した中国語ガイドを公開した。ガイドによると、ユーザーはQwenの拡張機能を有効化してアカウントにサインインすることで、写真やドキュメントの分析を含むより詳細な応答をSiriが行えるようになるとのこと。このガイドはその後、説明なしに削除された。
中国外でもAIの基盤は再構築中
※編集部の考察:以下は元記事が言及するApple Intelligenceの中国外での動向であり、中国展開の背景を理解する補足文脈として位置づけていただきたい。
中国向けの動きと並行して、Appleは中国以外のAI基盤も刷新している。2026年1月にGoogleと複数年契約を締結し、Google GeminiをApple Foundation Modelsの基盤として採用。WWDC 2026では、次世代Foundation ModelsがGoogleおよびGeminiと共同開発されたことを正式に認め、オンデバイス処理とAppleのPrivate Cloud Compute(プライベートクラウド処理基盤)を通じてApple Intelligenceを提供すると説明した。
ChatGPTは引き続き対応地域でApple Intelligenceの拡張機能として利用可能だ。また、再構築されたSiri AIはiOS 27向けに開発中で、すでにパブリックベータ3に新しいSiriエクスペリエンスが含まれている。英語設定の対応デバイスを対象に2026年後半のベータ提供が予定されており、その後他言語への対応が計画されている。
不明点が多いまま進む中国展開
今回の報道はあくまでプロジェクトに詳しい関係者の証言に基づくものであり、AppleもAlibabaも公式には認めていない。Apple独自の中国向けモデル・Qwen・Baiduの三者がどう役割分担するかは依然不明のままだ。Apple Intelligenceの中国でのローンチ時期についても、AppleもCACも発表していない。
詳細はApple Reportedly Trained a China-Specific AI Model With Alibaba's Help for Apple Intelligenceを参照していただきたい。