8月17日、CNBCが「Alibaba answers Meta's AI challenge with new laptop-ready model」と題した記事を公開した。AlibabaがMetaのオープンウェイトAI戦略に対抗し、ラップトップ上で動作する新モデルと最強モデルのウェイト公開を発表した経緯と、Hugging Face上でのダウンロード数においてMetaを大きく引き離しつつある現状が詳述されている。
ラップトップ動作が次の主戦場
Alibabaが発表した新モデル「Qwen3.8」(本文中では「Qwen3.8-27B」とも表記。27Bはパラメーター数270億を指す)は、ラップトップなどの一般向けコンシューマーハードウェア上での動作を想定して設計されている。コーディング、専門的な業務、リサーチ、長期的なエージェントタスク(複数ステップにわたる自律的なAI処理)への対応能力を持つとされ、より大規模なモデルと同等のパフォーマンスを発揮すると同社は主張する。ただしこの比較についての具体的な根拠や比較対象モデルは元記事の時点では明示されておらず、公式ベンチマーク等での検証が待たれる。
Counterpoint ResearchのNeil Shah共同創業者は「次の主戦場は、データセンターではなくデバイス上でのモデル動作だ」と述べた。オンデバイスAIは、ローカルハードウェア上で処理が完結するためレイテンシの低減とプライバシー面での優位性があると業界関係者は見ている。
専門家が指摘:MetaのLlamaは中国勢に追い越された
今回のリリースは、Metaが同時期に発表したオープンソースモデルファミリーへの直接的な応答でもある。MetaのLlamaはオープンソースAIの先行者として知られるが、中国勢に急速に追い抜かれた経緯があると専門家は指摘する。
AI調査機関Futurum GroupのAIリードNick Patienceは「MetaがオープンウェイトモデルへKAIを再び抱擁したこと自体、2年間にわたる中国ラボのオープンウェイト市場シェア獲得への反応だ」とCNBCに語っている。
ダウンロード数でMetaの2.6倍
オープンウェイトモデルの影響力を測る指標として重要なのが、派生モデル(Derivative)の数だ。開発者がモデルをダウンロードして自社製品に組み込んだ件数を指す。
大手モデルリポジトリ「Hugging Face」の集計によると、QwenベースのモデルはHugging Face上で15万1,448件の派生モデルを持ち、これはMetaの総フットプリントの2.6倍に相当する。
AlibabaはさらにQwenシリーズの最上位モデル「Qwen3.8 Max」のウェイト(AIの動作を規定するパラメーターと計算ルール)も公開した。誰でも自由にダウンロードして実行できる。なお、Qwen3.8-27BとQwen3.8 Maxは同一シリーズ内の別モデルとして位置づけられており、前者がコンシューマー向けの軽量モデル、後者がシリーズ最上位の高性能モデルにあたる。ただし学習に使用したデータや手法の詳細はいずれも公開されていない点には注意が必要だ。
「米国外で最も信頼できるモデルファミリー」
Futurum GroupのPatienceは「AlibabaはQwenを、中国国内および世界のオープンウェイト開発者コミュニティの双方において、ハードウェアベンダーとの連携の軸として最も信頼性の高い非米国系モデルファミリーに育て上げた」と評価する。
AlibabaはQwenを軸に、DeepSeekやMoonshot(中国のAIスタートアップ、Kimi開発元)など他の中国勢と並びオープンウェイトAIの主要プレイヤーとしての地位を固めつつある。Counterpoint ResearchのShahは「最も高性能なオープンウェイトモデルを提供できる企業がこのレースで前に出る」と述べた。
詳細はAlibaba answers Meta's AI challenge with new laptop-ready modelを参照していただきたい。