8月14日、CNBCが「Goldman's latest cash cow is all about funding the AI infrastructure boom」と題した記事を公開した。BlackRock CEOのLarry Finkが「1970年代にMBS(住宅ローン担保証券)市場を立ち上げた頃と同じだ」と語ったことで、Goldman Sachsが主導するAIインフラ向け資産担保融資への注目が集まっている。MBSは後に2008年のサブプライム金融危機の引き金となった金融商品であり、この比較は業界内で緊張感をもって受け止められている。ただし、大手アナリストらの評価は概ねポジティブだ。Goldman Sachsがどう儲け、どこにリスクがあるのかを以下に整理する。
NvidiaのAIインフラに5000億ドルを動員
今週、AI関連の大型資金調達が相次いだ。Nvidiaは月曜日、Goldman Sachsを含む6社の金融機関が連携し、AIインフラ整備のために5000億ドル規模の資金調達を行うと発表した。パートナーはBlackRock、Blackstone、Apollo Global、KKR、Brookfield。ただし、現時点での合意は拘束力のないMOU(Memorandum of Understanding=覚書)に過ぎず、Goldmanの資本配分額や具体的なエンドユーザー、ファイナンスの詳細は未公表だ。6社の中でのGoldmanの具体的な役割・ポジションも明らかにされておらず、GoldmanはCNBCのコメント要請を断っている。
この仕組みのポイントは、「AIコンピュート(演算インフラ)を資産クラスとして扱う」点にある。具体的には、データセンターのGPUなどの計算インフラを担保にして資金を調達し、Nvidiaの顧客(ハイパースケーラー[※AWS・Google Cloud・Microsoft Azureのような超大規模クラウド事業者のこと]、AIラボ、大企業など)が自社のバランスシートを傷めずにハードウェアを調達できるようにする構想だ。商業不動産や有料道路のような「キャッシュフローを生む資産」として位置付ける発想である。
Nvidia CEOのJensen Huangはこう説明した。
「これらは今や収益を生む資産だ。生産的で、長寿命で、代替可能で、柔軟性がある」
Goldman CEO David Solomonも「実物資産に対する資産担保型ファイナンスは当然の流れ。実際の価値があり、有形資産として評価できる。外部の資本も豊富にある」と語った。
Goldmanはどう儲けるのか
Nvidiaの案件に加え、Goldmanは今週、Intelの200億ドル規模の株式公募のジョイントブックランナー(=株式発行における主幹事。機関投資家への販売と価格設定を主導する役割)も担当した。さらに6月にはAlphabetの850億ドル規模の株式売り出しでも同様の役割を果たしている。
ブックランナーとしての収益構造はシンプルだ。Goldmanは発行体(IntelやAlphabetなど)から株式を割引価格で引き受け、機関投資家(ヘッジファンド、年金基金、政府系ファンドなど)に公募価格で販売する。この差額(グロス・スプレッド=引受手数料の総額)が主な収入源で、以下の3つに分配される。
- 引受手数料:在庫リスクを負うことへの対価
- 管理手数料:案件の組成・タイミング設計への対価
- セリング・コンセッション:実際に株式を販売する営業部門への対価
これらはすべてGoldmanのEquity Capital Markets(株式資本市場)チームに流れ込む。さらにリード案件では自社のトレーディングデスクも取引の中心に置かれ、ビッドアスクスプレッドや執行手数料でも収益を得る。
Wells Fargoのバンキングアナリスト、Mike Mayoはこう評する。「大手行がゴリアテとして勝ちを収めているというのが我々のテーマだが、最近の環境はそれが以前の想定以上であることを示している。大規模テック企業への融資能力があるのは大手行だけだ」。
「MBS」との比較——リスクをどう見るか
最も警戒感を引き起こしているのが、BlackRock CEOのLarry Finkが持ち出したこの比較だ。
「データセンターのファイナンスを見ると、これは私が1970年代に住宅ローン担保証券(MBS)市場を始めた頃の初期段階とまったく同じだ。金融工学の新しい未来だと捉えている」
MBS(Mortgage-Backed Security)とは、住宅ローン債権を束ねて証券化し、投資家に販売できるようにした金融商品だ。住宅ローンを証券化してトレード可能な金融商品にしたように、データセンターインフラを債券的な金融商品にパッケージングし、流通市場を作ろうという構想がFinkの発言の意図するところである。しかし、MBSは後に信用リスクの過小評価と複雑な証券化構造の不透明さが重なり、2008年の金融危機の引き金となった。この比較は業界内で当然、緊張感をもって受け止められている。
ただしWells FargoのMayoは「積極的な新規事業の拡大が想定外のリスクを生む可能性は公正な懸念だ」としつつも、「Goldmanは歴史的に最も優れたリスク管理者の一つ」と評価する。Bank of AmericaのEbrahim Poonawalaも「非常によく知られたリスクシナリオであるがゆえに、Goldmanのようなリスク管理者はしっかり対処できるはずだ」と述べた。
下振れ対策として、Nvidiaは資金調達総額の最大25%(約1250億ドル)をバックストップ(=万が一の損失を補填する保証枠のこと)する選択肢を持つとJensen Huangは明かした。
Solomon自身は冷静にこう述べた。「直線的には進まない。スプレッドが拡大し、速度が速すぎると感じる時もある。すべての投資が十分なリターンをもたらすわけでもない。勝者も敗者も出る。それが資本市場というものだ」。
Goldmanの株価はAIテーマと連動する
一連のAI案件がGoldmanに恩恵をもたらす一方で、同行の株価はAIのセンチメント全体に引きずられやすくなっている。CNBCの分析によれば、Goldman株の値動きはVanEck Semiconductor ETFとの相関が高まっている。「ある日突然市場がAIテーマに冷める、そのリスクはある」(Poonawala)という指摘は的を射ている。
とはいえ、Mayoも「現環境ではAIとGoldmanが結びついている。これはかなり意図せざる結果だ」と述べながらも、買い推奨を維持している。
詳細はGoldman's latest cash cow is all about funding the AI infrastructure boomを参照していただきたい。