8月14日、DeepSeekが「DeepSeek-V4-Pro GA Release」と題した記事を公開した。新モデル「DeepSeek-V4-Pro」の正式リリースと、APIの新料金体系について詳しく紹介している。
DeepSeekは2025年初頭にDeepSeek-V3・R1を公開して以来、「GPT-4クラスの性能を低コストで」という路線で開発者コミュニティの注目を集めてきた。今回のDeepSeek-V4-Proは、その流れをさらに加速させる位置づけのモデルだ。単なる性能向上にとどまらず、Agentワークフローでの実用性を強く意識した設計になっている点が今回のリリースの核心である。しかも料金面でも2段階制を導入し、使い方次第でAPIコストをさらに半減できるという。
推論エフォートを3段階で制御する「Flexible Reasoning Effort」
V4-ProおよびV4-Flash(V4系の軽量・高速版モデル)では、推論エフォートのレベルを柔軟に指定できるようになった。
- low:シンプルなタスク向け
- high:日常的なAgentワークフロー向け
- max:複雑なタスク向け
これは、推論コストとレイテンシをタスクの難易度に応じてコントロールできる仕組みだ。たとえばAgentが複数ステップのタスクをこなす場面で、軽い情報取得ステップにはlow、複雑な判断が求められるステップにはmaxを使い分けるといった運用が想定される。
OpenAIがo1・o3系モデルでthinking_effortパラメータを導入したのと同様のアプローチだが、DeepSeekはこれをAgentのマルチステップ処理全体でのコスト最適化という観点から前面に押し出している。DeepSeekは「本番環境での大きな性能向上」(strong production gains)と表現しており、ステップごとに適切な推論量を割り当てることで、精度とコストの両立が狙えるという主張だ。
OpenAI Responses APIネイティブ対応とCodex連携
OpenAI Responses APIをネイティブサポートした点も実務上の意味が大きい。Codexとの連携ではワンクリックセットアップが提供されており、すでにOpenAIエコシステムを使っているチームがDeepSeekへ移行・併用する際の障壁が大きく下がった。コードの書き換えを最小限に抑えながらモデルを切り替えられるため、コスト削減の試みをしやすい構造になっている。
ベンチマーク結果

公式のベンチマーク比較表が公開されている(上図)。DeepSeekは数学・コーディング・推論など複数のタスクカテゴリで競合モデルと比較した結果を示しており、V4-Proが上位モデルと競合する水準にあることを訴求している。詳細な数値については元記事の画像で確認されたい。
料金体系の改定:ピーク・オフピーク2段階制を導入
V4ラインナップのリリースにあわせて、API料金も改定される。新たにピーク料金とオフピーク料金の2段階制が導入され、オフピーク帯の料金はピーク帯の50%オフとなる。

料金改定の適用開始は2026年8月16日 16:00 UTC(日本時間:8月17日 1:00)。オフピーク帯の具体的な時間帯や各モデルの単価は公式料金ページに記載されている。バッチ処理や非同期Agentワークフローなど、リアルタイム性が求められないタスクをオフピーク帯にスケジューリングするだけで、実質的なAPI費用を大幅に圧縮できる設計だ。
既存実装への影響はなし
APIのモデル名は変更されないため、既存の実装をそのまま使い続けられる。アプリ・Web版では「Expert Mode」からV4-Proが利用可能で、APIでも即日利用できる。
詳細はDeepSeek-V4-Pro GA Releaseを参照していただきたい。